盛和塾 読後感想文 第三十七号

周囲の人に助けられ、育ててもらった幸運に感謝

(株)JSコーポレーション代表取締役 米田英一(北大阪)さんのお話の中で、彼の父の話が述べられています。

“父は仕事で忙しいにも関わらず、毎日必ず6時半頃には帰り、家族と一緒に御飯を食べてくれました。食卓を囲みながら、小学校であったその日の出来事を父に話すのが本当に楽しみでした。また、中学校の頃までは月に一回、家族みんなを飯盒炊さんのハイキングに連れて行ってくれました。-家族は仲良く、両親を大切にする-といったような事を教えてくれたように思います。”

これは私にとって、本当に衝撃的なことでした。と申しますのは、私は全く正反対の事を息子達にしてきたからです。息子達は私の背中を見て、行動を見て、学んでくれると勝手に思い込んでいたのでした。

米田さんのお話は会社経営の中で、家族主義をベースにする事と直結している考え方だと思います。従業員とのコミュニケーションを図り、従業員の仕事に関心を持ち、彼らの意見に耳を傾ける、という事と同じ事だとつくづく思います。家族主義とは、子供の話を聞いてやることと同じ事のように思われます。

今後は時間を惜しまずに従業員とのコミュニケーションを図る様、更なる努力をしたいと思いました。

 

盛和塾との出合いで一変したブラジルでの経営者人生

AMAZON WOODS LTDAの中井茂夫さんは波瀾万丈に富んだ人生の中で、奥さんに言われました。“お父さん、50歳になったら自殺すると言っていたね。死んだつもりになってAMAZONで稼ぎなさいよ。”

日本への材木輸出が止まった時、泣きの手紙を塾長へ書きました。塾長からの返事は、“悲観して泣きついたりせず、もっと強くならんか。”  “調子の良い時に気力が充実しているのは、誰でも出来ること。悪い時にこそ気力を振り絞り、頑張ることが成功の秘訣です。弱音を吐かず、頑張られることを期待します。”

中井さんの人生はアップダウンの激しいものですが、それを跳ね返して稲盛哲学をベースに頑張っておられます。

私の苦労なんてものは中井さんのどん底の経験からすれば、取るに足りない物だと思いました。 

 

雇用の場を提供して、青森の発展に尽くしたい 

アンデス電気株式会社 代表取締役社長 安田昭夫さんは、下請けを20年も続けて来られました。お客様の言うままに、会社を大きくしてしまった事を反省されていました。

安田さんはまた、闘病生活を強いられ、会社の経営も大変な問題を抱える事になりました。その再建の為に、多額の投資(11億円)をしました。それでも業績は回復せず、死を考えたほどでした。

しかし、苦労の末オンリーワンの技術-カラーフィルターの開発に成功しました。先行投資が芽を結び始めたのです。それは付加価値生産性が大幅に向上(下請け業と比べて)したことを表していました。

塾長講評の中で塾長は、“世界を相手に下請け製造技術を発揮してほしい。” と注文をつけています。下請けはコストが安い為に、メーカーさん達が組み立てや、委託製造を依頼してくるわけです。従って、コスト削減する方法も付加価値を上げる方法の一つだと思います。同じ下請けの仕事を続けていく中で、創意工夫が生まれるのだと思います。

 

人生の意義ー塾長が語ります

1.存在することに意義がある

植物も動物もただ単に存在するのではなく、それはあらゆるものと関連し合いながら、必然性を持って存在している。 

2.世の為、人の為に積極的に尽くす

我々人間は、強い “意思"  と “知恵” を持っている。こうした意志や知恵を世の為、人の為に尽くしてあげることが、人生をより意義あらしめるし、より充実した素晴らしい人生にしてくれる。すなわち、それは他を思いやる “利他の心” なのです。 

3.人生は魂を磨き上げるための場

人生の目的は、美しい魂を作り上げることであり、人生の苦難も試練、成功も試練であります。試練を素直に善意に受け入れ、前向きに努力する事が重要です。悲観的に屈折して試練を受け取ってはなりません。神様は我々に試練を与え、その人がどう試練を乗り越えていくかを見ています。試練は神様が我々の魂を磨くために与えてくれたものです。 

4.謙虚 反省 誠実 努力の日々に成功が開ける

会社がうまく行っても決して慢心してはならない。謙虚を忘れず反省しながら誠実に、人生を生きていくことが成功への道です。

 

六波羅蜜

塾長は心を高める為に、六波羅蜜を説いておられます。

1.世の為、人の為に尽くす “布施”(ふせ)

2.戒律を守る “自戒”(じかい)

3.一心不乱に働く “精進”(しょうじん)

4.耐え忍ぶ “忍辱”(にんにく)

5.心を鎮める “禅定”(ぜんじょう)

6.悟りに至ることができる “知恵”(ちえ)

世の中の為に貢献したいと思い、努力をする。その事が自分自身の心を高めることとなる。心を高めれば、会社の経営も立派になる、と塾長は述べています。 

塾長の謙虚、反省の姿勢にも驚きます。“人生の意義” を語っておられますが、“恐らく自分がまだ十分には理解していない為に、皆さんにとってわかり易い話ができないのだと反省しつつ、講話を終わらせていただきます。” と結んでおられます。このような謙虚な姿勢には塾生皆、感服しておられると思います。 

 

しがない土産物屋稼業の革新

株式会社中野屋 代表取締役 中野吉貫(よしつら)さんの失敗談―養子先でいろいろなビジネスに挑戦するも、いずれも失敗します。ビジネスホテル、サウナ風呂、焼肉店、高級漆器工芸品の店、全てに手を付け、全てに失敗しました。養子先の土産物屋を馬鹿にしていたのでした。

失敗の後、本業の土産物屋に戻り、土産品の “さぬきうどん” の開発に着手しました。“食べる直前に湯がいて食べますと美味しいうどんが楽しめます。” この発見が、“うどん打ち体験” 観光に繋がったそうです。お客様に "さぬきうどん" うどん打ち体験をしていただくという、新しい観光の始まりでした。

その “うどん打ち体験” が “中野うどん学校” の開校へと発展していきました。通信販売へも挑戦しました。株式会社中野屋は、人対人の接客サービス、手の届かないところへの細やかなサービスで大企業に対抗し、又同業者があまり行かない地方、小さな旅行業者、将来性のある人物がいる会社等への営業活動を中心にセールスしています。新商品の開発、独創性のあるセールスをベースとして、事業を拡大してきました。

経営の原点12ヶ条を最も大切にし、従業員に知らせ、その主旨を理解してもらう様に、努力をしています。

 1.事業の目的・意義を明確にする

 2.具体的な目標を立てる

を特に重要視しておられます。 

 

何故アメーバ経営が必要か-塾長の教え 

1.アメーバ経営の目的は、会社の経営理念/哲学を実現していく為の経営管理手法です。

  • マーケットに直結した部内別採算制度の確立

マーケットはお客様の要望であります。これはお客様第一主義、あるいは自分の事業、仕事は世の為、人の為にあるわけですから、絶えずお客様の要望、品質、価格、納期、アフターサービス等の要望を第一に考えて会社全体を、お客様の要望に迅速に応えていくという経営理念に基づいたものと考えます。

マーケットが決める価格(お客様が受け入れてくれる価格)を第一に考え、それに見合った製造原価、一般管理販売費をコントロールし、売値よりも安い原価で製品を作る必要がある。これが “売上最大  経費最小” の原則となります。

市場の動きに即座に対応する。売上最大、経費最小の原則をどう実行するのか。

-誰にでも解る時間当り採算表を従業員全員と共有する。労働時間1時間あたりの付加価値を計算することで、各部内(アメーバ)で働くメンバーがどれだけの付加価値を生み出したかがわかる。時間当り採算表の予定と実績を対比させることで、各アメーバの売上、生産、経費の予定に対して、進捗状況を把握する。アメーバリーダーはリアルタイムに、進捗状況を知ることができる。過去の原価データでは、即座にマーケットの変化に対応することはできない。 

  • 経営者意識を持つ人材を育成する

会社が急速に成長していくと、トップの社長一人だけでは全社を見ていくことは不可能となります。経営者としての自覚を持った人を一人でも多く育てていく必要が出てきます。営業部門、製造部門の責任者、営業部門も製造部門も大きくなるにつれて東部、西部、中西部の各責任者が必要となりますし、製造部門も大きくなり、A工程、B工程、C工程と各工程毎に責任者・経営者が必要となります。

それぞれのユニット・アメーバ組織を作り、各組織を一つの中小企業として採算管理をすることによって、アメーバリーダー経営者を育てます。

つまり、経営者意識を持った人材を育てていくのです。 

  • 経営理念をベースとした全員参加経営の実現

労使対立が発生することのないように、経営者が労働者の立場を理解し、その権利を尊重し、労働者の意識を向上させる。労働者も経営者の苦労や考え方を理解する。結果として両者が会社全体のためという考え方に立つようにする必要があります。=“大家族主義” 

2.アメーバ経営の要請 

  • アメーバ組織の作り方

-部内の収支がはっきりし、独立採算制が取れる単位

-事業として完結できる単位

-個の独立した会社として成り立つか。アメーバは独立採算で経営していくことが出来るようにしておくことが必要。

-会社全体の目的を遂行できる単位

独立採算組織としてのアメーバが会社全体として一貫した経営を阻害するようになってしまっては、元も子もないのです。アメーバとして細分化したものが、会社として調和がとれるように見直していくことが重要です。         

-常に組織を見直し続ける

アメーバがその時その時の事業内容に合った組織に名手いるかどうかの検討が必要です。 

  • アメーバ間の値決め

労働の価値に対する社会的な常識を踏まえ、公正に判断する。

  • アメーバ経営におけるリーダーの姿

-リーダーは全人格的に優れた人間でなければならない。

アメーバのリーダーは、人間としての普遍的な価値観、公平、公正、正義、誠実、忍耐、努力、親切、思いやり、謙虚、博愛を持っていなければならない。 

-アメーバのリーダーは各部門の代表でもあり、全社の利益を代表する人でもあります。 

  • アメーバ経営が実現するもの

すばらしい経営フィロソフィーを経営に具現化することが、その目標であります。すばらしい実績には全従業員からの賞賛と感謝をもって報いる。金銭には換算しないように日頃から人間としてのフィロソフィーの学びに努力する。