盛和塾 読後感想文 第三十九号

高い目標を持つ

高い目標を持つことは、会社全体の発展に不可欠なものだと思います。経営者は会社の心臓です。経営者は目標を定め、夢を語り、目標を描き、従業員、仕入先、顧客と共に、目標の山の頂上を目指し、ひいては社会や国の発展に貢献します。 

善き事を為す 

1. 因果応報の法則

過去に名経営者と呼ばれた人達が、後年に没落していく話が枚挙にいとまがありません。企業経営は繁栄と没落の繰り返しの歴史です。人生というドラマがこのように繰り返され、人は過ちを起こします。仏教の教え “善根は善果を生み、悪根は悪果を生む” というものがあります(因果応報の法則)。善き事を行えば善い結果が、悪い事を行えば悪い結果が生まれるという法則。子供の頃よく言われた言葉を塾長は言っています。“悪い事をすればバチが当たるよ。”しかし、善い事を思ったからといって、善い事をしたからといって、すぐに良い結果が出るわけではない。何年もかかって良い結果が出るかもしれないし、出ないかもしれない。それどころか、悪い事をした者がお金持ちになったりするではないかと考えてしまうと、大事な人生の法則を理解していないこととなる。中国の禅寺の雲谷禅師は、人間の運命は変えることが出来ること。“人生には因果応報という厳然たる法則がある。善きこと、すなわち、善を思い、善を行えば、必ずあなたの人生は変わる。”と禅寺に座禅を組みに来た袁学海(えんがっかい)という人に諭されたそうです。袁学海はその後、雲谷禅師の教えに乗っ取って人生を全うしたそうです。袁学海は名を袁了凡(えんりょうぼん)と改め、その息子に “陰騭録(いんしつろく)” という本を与えた。袁了凡は素直に因果応報の法則を実践して、立派な長官としての人生を送った。雲谷禅師は袁了凡に云います。“自分の心に向かって道徳、仁義を求めるように努力をすれば、心の外にある功名も富貴も二つながらに得ることが出来る。” と教えました。

2. 善きこと 

善きこととは仏様の六波羅蜜-布施、持戒、精進、忍辱、禅定、智慧-の修行をすること。それは塾長の唱える六つの精進と同じもの。 

①  誰にも負けない努力をする

②  謙虚にして驕らず

③  毎日の反省を行う

④  生きていることに感謝する

⑤  善行、利他行を積む

⑥  感性的な悩みをしない 

3. 試練への対応

自然界は我々に試練を与えて、その試練をどのように乗り越えていくかをつぶさに観察している。その試練に対する処し方が良ければ善い結果が生まれ、悪ければ悪い結果が生まれる。災難に遭ったり、苦難に遭った時、その苦しさに負けて世を恨み、人を妬み、不平不満を漏らし、世をすねた人は、人生をさらに暗く辛いものにしてしまう。逆にその苦しさに耐え、いつか自分にも明るい未来があると信じて一生懸命精進していく人には、素晴らしい結果が待っている。 

因果の法則を信じて、実践される人には成功しかなく、失敗することはないと言えます。

宇宙、自然は、切磋琢磨して発展してきたわけですから、人間も経営者も、その宇宙の法則に従い、厳しい自然界、厳しい経済界の中で精進することが要求されていると思います。 

心の哲学と公共の経営(東京大学名誉教授 溝口雄三)

1. 優れた友は己の中にこそ存在する 

人は自分に不満足な時に、外に自分より優れた人に会って助けを求めたい、自分を向上させたいと思う。実は現在の自分に不満があるという気付きは、すでに自分を超えようとしている自分が己の中にあるということ。己に勝る友というのは実は、己の中の己なのであって、自分の中にある。決して外に自分より優れた人がいて、自分の手を引っ張ってくれるということはありません。己自身が己の心をより高めようをする気持ちの現れです。 

経営者は何故これをしているのか、これをして何の意味があるのかを考えざるを得ない状況にいつも直面している。塾長の経験“松下のおかげでこんなに安く、こんなに良い物ができるようになった。これも全部松下にしごかれたおかげだと感謝した。”とあります。 

京セラは他の下請け会社が松下に対して不満を言っている間に、松下のしごきを能動的に捉え、前向きに捉え、自分の技術力向上に役立てたわけです。塾長はこの時、京セラの役割り、塾長自身の役割り、使命を考えられて、松下の下請けをされていたと思います。恐らく、京セラの従業員を守っていくことを第一に考えたに違いないと思います。

2. 心の量を拡げる為に 

経営者の使命を考えていく中で、“一体私は何をしているのか。社会の中でどういう役割りを果たしていくのか。” という問いにぶつかります。会社は生き延びる為に、闘い、競争し、長期的にどう進んでいくかを決めなくてはなりません。反社会的な行為をすれば、会社は存続できません。社会に役立つ存在であることが必要となります。

こうしたことを通じて、経営者は自分の心を高め、利他の心に基づき、社会に貢献していこうと努力します。その為にも経営者は、心の量を大きくする努力が必要です。