盛和塾 読後感想文 第六十号

素直な心を持つ 

素直な心とは、自分自身のいたらなさを認め、そこから努力をするという謙虚な姿勢のことです。とかく能力のある人、気性の激しい人、我の強い人は、往々にして人の意見を聞かず、たとえ聞いても反発するのです。しかし本当に伸びる人は素直な心をもって人の意見をよく聞き、常に反省し、自分自身を見つめることのできる人です。 

私見では、素直な心を持てる人は、能力も高く、違った意見、異なった思想、異なった文化、自分の持っていないものを理解しようとする人だと思います。人格のすぐれた人です。こうした人は、他の人から尊敬されるのです。 

そうした素直な心でいると、その人の周囲には、やはり同じような心根をもった人が集まってきて、物事がうまく運んでいくものです。 

自分にとって耳の痛い言葉こそ、本当は自分を伸ばしてくれるものであると受けとめる謙虚な姿勢が必要です。 

信ずれば変わる - 頭ではなく心に信念化する 

立派な経営の本を読んで勉強している、また盛和塾でも勉強はしているけれども、それを活かして企業の業績がよくならないのは、なぜなのか、どうすればよくなるのか、と悩んでいる経営者の方々がいます。 

人生も経営も作り手はあなた自身

あなたの人生や会社の現在も将来もあなたが作ります。他人が作るのではありません。景気が悪いから、従業員によい人材がいないからうまくいかないのだと言うのですが、そうではありません。 

自分の人生も、企業の業績も、すべては自分自身が作っています。つまり、自分の心が作っているのです。個人であれ企業経営者であれ、自分自身が思っている通りの人生、思っている通りの企業経営がそこに現れているのです。 

善きことを思い、善きことをすれば、よい結果が生まれるし、悪しきことを思い、悪しきことをすれば、悪い結果が生まれます。因果応報の法則というものがあるのです。 

明時代の思想か、袁了凡が書いた“陰騭録”(いんしつろく)の中では、人間は運命という縦糸をたどって生きていきます。その中で人間は善きことを思い、善きことをなし、悪いことを思い、悪いことをします。それによって運命は変わっていきます。善き思いは善き結果を、悪しき思いは悪しき結果を招きます。この因果応報の法則が横糸となって運命を変えるのです。 

イギリスの哲学者 James Allen も“原因と結果の法則”の中で同じ因果応報の法則を述べているそうです。 

しかし因果応報の法則は、なかなか短期間のうちにはハッキリと現れません。ですから、誰もこの法則があることを信用しないのです。 

人は心の中で信じている方向へと動く

人生結果・仕事結果 = 考え方 x 熱意 x 能力という方式で考えられますが、その中でも考え方が最も重要です。私達はこの考え方、哲学というものを“経営12ヶ条”、“京セラフィロソフィー”、“心を高める”、“経営を伸ばす”等の本を勉強もし、盛和塾例会にも出席して勉強しています。しかし、私達の経営があまりうまくいっていないというケースがたくさんあります。 

フィロソフィーをいくら知識として持っていても意味がありません。血肉化しなければならないのです。頭の中で知識として持っているだけではフィロソフィーというものは使えません。 

フィロソフィーは潜在意識に透徹するほどの強烈な願望にまでならなければなりません。潜在意識に透徹するとは、頭にも心の中にも染み込んでしまった状態をいいます。人間は最初は頭で理解し、何度も何度も理解をし、それが心の中、すなわち潜在意識にまで染み込んでいくのです。人間は、そのように心の中で信じ込んだもの、信念化したものの方向へと動いていくのです。 

盛和塾の教えを信念化する考え方 

フィロソフィーを勉強し理解をしても、心の中に落とし込む、“信じる”というところまでいっていないと、フィロソフィーの実践にまで届かないのです。 

仏教の教えでも、仏の道に仕えている高僧でも、年がら年中お経を唱え、座禅を組み、心静かに修行していますが、みな同じように素晴らしい人間性になっているかといいますと、そうでもないのです。 

キリスト教の牧師さんでも、キリスト教の説く愛、様々な勉強をしています。しかしそれぞれ人格も個性も違います。 

仏教の場合も、お坊さんは仏の教えを知識として持っています。説教をしますと、素晴しい仏の教えを語ります。しかし、お坊さんが皆、心で信じているわけではなく、まだ信念にまで達していないことがあるのです。ですから、言っていることと実行していることが違ってしまうわけです。同じお釈迦様の教えを学んだのであれば、お坊さんたちの人格は非常に似通ったものとなるはずですが、必ずしもそうではないのです。それは仏の教えが心に染み込んでおらず、信念化していないためなのです。人格にまで影響を及ぼしていないからなのです。心に染み込み、心の中で信念化しているのであれば、それは人格にも大きく影響を及ぼし、人格そのものを変えていくはずです。 

我々の勉強の場合も同じです。フィロソフィーを知識として持っただけではなく、心に染み込ませ、心の中で信念化させて、人格まで変えるような生き方をする必要があります。 

低次元の自我を理性で抑える 

私達は “心の修養” に努めています。心の修養に努めるとは、低次元の自我を抑えることなのです。低次元の自我とは煩悩のことです。煩悩には、お釈迦様が言われる三毒のことです。“貪欲”、“怒り”、 “愚痴” の三毒です。 

人間はいくら高尚なことを考えても、放っておけば、瞬間瞬間に本能がもっている煩悩でものごとを考えてしまうのです。金を儲けたい、小さなことに腹が立つ、不平不満を言う。これが人間なのです。 

低次元の自我、欲望に満ちた自分勝手な思い、怒りや憎しみに支配された心を、私達は持っているのです。こうした本能がないと、私達は生きていけないのです。それによって私達は自分だけがよければよいと思ったり、すぐに怒ったり、不平不満を漏らしたり、人を憎んだりします。 

しかし私達は他人の心を見ようとしますが、自分の心を見ようとしないのです。自分の心 - 自分の庭の中に雑草が生えていることに気づかない、これが私達人間なのです。 

心の隙間に現れてくるのは利他と思いやりの心 

私達はフィロソフィーの勉強をしたり、りっぱな人の言葉や行動を見ますと、利他の心が芽生えてくるのも事実です。誰しもが持っている薄汚い低次元の自我を理性で抑えることで、利他の心も芽生えてくるのです。低次元の自我 - 自分の庭に一杯繁殖している雑草の間に、その隙間に、きれいな花/利他の心が生えてくることに気が付くのです。低次元の自我を常に抑えていく努力をすると、美しき善き心、利他の心が必ず出て来るのです。 

毎日毎日反省をしながら、低次元の自我を抑えていく、そうすれば素晴らしい心、善の心、利他の心が生まれてくるのです。 

こうした低次元の自我を抑えていく努力は、事業経営の中で生かされて、素晴しい事業経営を導くのです。自我を抑え、信念にまで高める為には、繰り返し繰り返し学び、毎日反省し - 今日の一日はどうだったのか – フィロソフィーを自然と心の中へと染み込ませていくという作業が欠かせないのです。 

自我の抑制にはそれにともなう行動が必要と思われます。盛和塾例会への出席、経営12ヶ条の勉強、フィロソフィーの勉強、従業員とのコンパ、研修、従業員への自分の思いの伝達(会議や報告)等、毎日の仕事の中に、こうした作業を繰り返し繰り返し続けることだと思います。自我の抑制には、こうした行動が必要なのです。そうすることにより、理解したフィロソフィーが行動になり、心の中で信念となっていくのです。心から信じてしまえば、潜在意識にまで透徹し、無意識のうちに目標とする方向へ行動するようになります。 

経営者の信念を従業員に移植する 

経営者は自分で繰り返し学んだことを社員と共有しなければなりません。それには自分の会社はこうしたいと思う。その願望を文章にして、はっきりと社員に伝えなければなりません。会社の目的、意義、目標をはっきりと文章にし、社員に話し、共有するようにしなければなりません。 

会社の目的、意義、目標を社員と共有するというのは、社員の心のなかにもそれを染み込ませるということです。 

これは唯、知識として会社の目的、意義、目標を社員に伝えるということではありません。経営者はまず自分の心の中に染み込ませ、自分の信念にまで高めなければならないのです。そうして信念に高められたものを社員の前で、私はこういう方針で、こういう考え方で経営をしていくと、堂々と伝えます。 

経営者自身が、会社の目的、意義、目標を心に信じ込んでいない – 心に染み込ませていないことには、社員を説得し、社員に共有することを望むことは出来ないのです。 

人間はあることを習得する時、まず頭で理解し、行動、実践を通して、この繰り返しによって学び、納得して、前に進みます。 

社長はその為には、社員に会社の目的、意義、目標をことある毎に社員に話しかけます。コンパ、会議、研修、運動会等を通して、繰り返し繰り返し話しかけるのです。 

そうすることで、社員の中には“社長はそういう考え方で経営するのがよくわかった。協力しましょう”、“私もそう思います”というものが出てくるのです。 

持ち込んだフィロソフィー 激変した経営 

京セラは経営難に落ち込んだ企業を傘下におさめ、再建してきました。東芝ケミカルの再建。 

東芝グループの一社、東芝ケミカルという会社は、接着剤、絶縁材料、有機材料を必要とする東芝グループに有機材料を提供する会社でした。東芝グループ以外にも外販をしていました。親会社の経営が苦しくなり、子会社の東芝ケミカルの株式を京セラに売却するという話が出てきました。 

東芝ケミカルの業績は、当時売上高役300億円、年間約70億円の赤字を出している会社でした。買収した時は売上高280億円、24億円の赤字を出していました。買収後、一年目には売上高260億円と売上減でしたが、税引前利益は約8億円の黒字に転換しました。今期は売上高約300億円、税引前利益30億円を目指しています。 

フィロソフィーを理解し、フィロソフィーを全社に伝えることにより、会社を変えることができたのです。東芝ケミカルは京セラケミカルと社名を変えていますが、社長は東芝から来られた人です。京セラからは数名ほどしか派遣していません。 

東芝ケミカルが京セラの完全子会社になると決まったとき、東芝ケミカルの多くの社員が辞めていきました。従って京セラは、もぬけの殻になった会社を買収したのでした。ところが一年半もしないうちに、京セラケミカルは黒字化しているのです。 

京セラから派遣された東芝ケミカル(京セラケミカル)の部長の手記。私は出社は毎朝7:30と決めていました。女性アシスタントか私が一番早く出社していました。東芝ケミカルのもとの従業員は、フレックスタイムが導入されていましたから、全員が揃うのは10時頃でした。大半の人は出社をしても挨拶さえしません。午後になれば、3時頃から帰宅が始まります。私の最初の仕事は、みんなに挨拶をしようと呼びかけることでした。 

営業マンはほとんど外出しません。“当社では販売をディーラーに任せています。そのディーラーにマージンをあげて、我が社の製品を売ってもらうようにするのが営業の仕事です”顧客の声を社内に伝えることが出来るはずがありません。 

営業の人に集まってもらい、聞いてみました。この製品の販売戦略は?この製品の強みは?シェアはいくらくらいですか?どれを聞いても “わからない” でした。営業の人達は技術職で、営業の教育、訓練は全く受けていませんでした。 

傾いた会社なのに、全く緊張感のない職場。 

1年後、京セラケミカルは様変わりしました。京セラに来たある社員は、 “ここは京セラよりも京セラらしい” と言ってくれました。 

フレックスタイムはなくなりました。全社の朝礼、掃除、フィロソフィーの唱和、フィロソフィーの輪読、ラジオ体操。8時半の唱和では、経営理念、活動理念、業務目的、信条を唱和します。各部署の朝礼では、フィロソフィー手帳を輪読し、感想を述べます。営業方針も唱和します。 

月には2度、社長・副社長主催のコンパがあります。そのため、わざわざ畳の部屋も作りました。社長・副社長は他部門と月4~5回のコンパに出席しています。 

会社全体がこの1年半で大巾に変わりました。みんなの考え方が変わって来ました。積極的になり、明るくなって来ました。 

たった一人の男がフィロソフィーを引っ提げて、川崎の工場に赴任しました。最初は小馬鹿にされました。誰も相手にしてくれなかったのです。しかし、みんながフィロソフィーを受け入れた時、信じ込んだ時、会社が一転して素晴らしいものに変わっていったのです。 

業績がよくならないのは、あなたが信じていないから 

東芝ケミカル再建の話によってもわかるように、盛和塾で勉強したフィロソフィーを自分の心の中に染み込ませ、自分のものにする。それを従業員たちの心の中に移植できれば、私達の経営も劇的な業績の変化に連なるのです。業績の変化が起こっていないのは、それは私達自身がフィロソフィーをまだ心の中に染み込ませていないからなのです。 

自分がフィロソフィーを心の中に信念として持っていれば、必ず従業員に信じ込ませることが出来、フィロソフィーを共有してくれるはずです。 

盛和塾に入ったら、会社の業績がよくなったというのでなければ意味がない。盛和塾例会や勉強会に出席するには、業績がよくならなければ恥ずかしいのです。“なぜ私の会社の業績がよくならないのか”これは、私がフィロソフィーを心底信じていないから、上っ面で、頭でしか理解していないからです。

経営の原点経営12ヶ条 

“経営12ヶ条” を心の中に染み込ませ、従業員に話をして従業員と共に実践し、共有していく為には、“自分自身も従業員と共に学ぶ” という謙虚な姿勢が大切です。そうすれば必ず私達の会社も従業員もフィロソフィー “経営12ヶ条” を心に染み込ませることができ、共有していくことが出来るのです。 

  1. 事業の目的意義を明確にする(公明正大で大義名分のある高い目的を立てる)

“全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩、発展に貢献すること”という単純明快な目的、意義を会社経営の根本的なフィロソフィーとします。この目的の為に経営陣も従業員も一丸となって誰にも負けない努力をするのです。この会社に勤めて本当に良かった。会社の経営も安定し、給与・賞与もいただき、老後の年金もあり、安心して働けるということになるのです。 

経営者も私利私欲に走るのではなく、従業員の物心両面の追求が会社の目的であることとはっきりと従業員に伝える必要があるのです。 

“私は私利私欲で会社を経営しているのではない。私も幸せになりたいし、皆さんもそうでしょう。だから一緒にこの会社を立派なものにし、お互いに物心両面で幸せになりましょう。だから皆さんも協力してほしいのです。皆さん自身の為にも一生懸命頑張って下さい” とハッキリと言うのです。 

塾長が第二電電を創業する時には、自分に問い正しています。“動機善なりしか、私心なかりしか”  “動機は善だ。私利私欲に満ちた心ではなく、公明正大な心で第二電電を興そうとしているのだ” と自分自身で納得して、事業を始めたのです。 

第二電電は、寄せ集めた部隊で始まりました。電電公社出身の技術陣、商社から来た社員、一般公募で集まった社員もいました。寄せ集めの外人部隊でスタートしました。 

その時、こうした寄せ集めの人々に向ってはっきりと伝えました。“第二電電は、稲盛和夫の名誉欲やら私利私欲から作ったものではありません。国民のために安い通信料金の社会を作りたいから、この会社を作ったのです。社員の皆さんもこうした目的に賛同してくれるのなら、出身団体は何であれ、結束して、強大な電電公社に立ち向かっていこうではありませんか” 

“百年に1回あるかないかという激動、変革の時です。このような壮大な仕事に携わることができる、関係することができるチャンスなど滅多にありません。この素晴らしい機会に恵まれた幸運に感謝し、団結して一緒に戦おうではありませんか” 

このように、公明正大で大義名分のある高い目的を立てるということを通じて塾長は全社全体を引っ張っていったのです。 

  1. 具体的な目標を立てる

1.で事業の目的、意義を明確にしましたから、今度は具体的な目標を立てる。立てた目標は社員と共有する。 

言葉で社員に伝えると同時に具体的に月次損益計算書で示すのです。売上高の目標はいくら、原材料費は、労務費は、製造間接費はいくらと目標を明らかにし、一般管理販売費は、目標税引前利益はいくらかと、具体的に示すのです。目標を実現する為に、それぞれの社員に協力してもらうことが必要です。 

月次決算の予定も作ります。その中で、売上については$1,000,000、原材料費は$200,000、労務費は$300,000、製造間接費は$200,000、売上総利益(グロスマージン)は$300,000、一般管理販売費は$200,000、税引前利益は$100,000、税引前利益率10%、と予定を立てます。 

売上目標が一番大切です。営業のAさんには$100,000売上を頼みます。Bさんには新規のお客様から新しい製品開発の依頼をとって来て下さい、等、各営業担当の売上目標を明示します。 

原材料費についても、仕入担当のAさんに代替材料はないか、他の仕入れ業者から買い付けることを検討してもらう、原材料の質の高いものを探し、歩留まり率を向上させる等、具体的な目標を明確にします。 

労務費についても、製造計画をはっきりさせ、従業員が気持ちよく、効率的に働ける様、工場長、職長に目標を提示します。あるいは目標を共に作るのです。 

このように従業員がはっきりと分かるように月次損益計算書の予定を作り、実績と比較していくのです。 

こうした具体的な目標は従業員にヤル気を起こさせるのです。大事なことは、経営者は、具体的な目標を従業員が理解してくれる様に訴えていくことなのです。要するに、従業員に会社の損益計算等、経営情報をすべて知ってもらうことなのです。 

  1. 強烈な願望を心に描く

2. 具体的な目標を立てる、とあります。一旦、目標を立てますとそれは、潜在意識に透徹するほどの強く持続した願望でなければなりません。 

盛和塾での学び、松下幸之助や稲盛和夫の言われることを何度も何度も繰り返し勉強し、毎日必ず暗記するくらい読むことです。更に、ノートにまとめて、手で覚えるようにします。そうしますと、耳で聞き、目で見、手で動作をしますから、人間の頭と心の中に、考え方やフィロソフィーが少しずつ染み込むのです。勉強したことを従業員に訴え、共有してもらうのです。 

次は実践です。潜在意識まで透徹するくらい、考えていますけれど、それでも、実践し、従業員と行動を共にすることが必要なのです。 

勉強と実践/行動が伴なって強烈な願望が心に描かれ持続するのです。このことを怠ったら、強烈な願望は私達の心から去っていくのです。 

  1. 誰にも負けない努力をする

地味な一歩一歩の積み重ねによって、偉大なことは成し遂げられるものです。地味な商売も積み重ねれば、いずれ巨大な山になっていくはずだと信じて、誰にも負けない努力を継続していくのです。こうしたことを従業員にも理解してもらい、実践してもらう様にするのです。こうすることによって、誰にも負けない努力をするとは、具体的にはどうするのかと考えるようになると思います。 

  • 従業員の先頭に立ち、率先垂範し、従業員が “社長はあんなに頑張っているのだ” と同情されること。
  • 従業員、お客様、仕入業者に対して、いつもオープンにして即座にいつでも対応できるようにしていること。
  • 創造的なこと、チャレンジすることに対して、決してあきらめず、努力に努力を積み重ねること。
  • 自分の体力、気力をいつも管理して、鍛え続けること。 

誰にも負けないというのは、自分も誰にも負けない努力をしていると信じているし、周囲の人もそういう自分を見てくれていると評価されるものでなければならないと思います。 

  1. 売上を最大限に、経費を最小限に

売上を少しでも増やし、経費をできるだけ減らすことです。 

売上をどのように増やしていくかが最大の経営の要諦だと思います。売上を増やすには、数えきれない程の方法があります。いろいろな売上の側面を考えることが必要です。 

  • お客様のベース - 多くのお客様を見つける。お客様の層を変える。
  • 販売ルート -新しい販売ルートを開拓する。日本の国内、国外。
  • 価格 - 値を上げるのか/下げて大量に売るのか。
  • お客様へのサービス - お客様のビジネスを理解し、その為に何をしたら良いか、徹底的に調査し、提案していきます。
  • 新製品の開発/新しい分野へのチャレンジ
  • 製品の品質改善 - 製品の品質管理を高め、良い製品を作る。
  • 製品輸送体制 - 製品の送付について改善する。お客様の近くに製品倉庫を設       置する。 

様々な分野で改良することが出来ます。  

しかし、売上を最大にするのに最も重要なことは、営業担当の従業員の教育です。と同時にそれを支える経営者、製造、倉庫等、他部門の従業員からの支援です。売上に関わる情報が、できるだけ正確に早く他の部署に伝達され、他の部署が直ちに反応することが大事なのです。 

経費を少しでも減らすことも全体、各部署からの支援・協力が必要なのです。 

  • 原材料 - 仕入担当者は、仕入先2社購買制度を採用する。
      - 計画的に仕入し、緊急仕入はしない。

      - 製造部では歩留まり率を上げる努力をする。代替原材料を見つける。

  • 労務費 - 製造計画を正しく正確に立て、人員の無駄使いはしない。

      - 労災が発生しない様に、安全管理を徹底する。

  • 製造間接費- 水、電気、ガス、油の無駄使いをなくす。

      - 機械設備・建物の修理・維持を定期的にして、製造工程がスムーズに
           進めるようにする。

  • 倉庫 - 製品の出荷ミスをなくす。 

経費削減の方法はいたるところにあります。いかに従業員に気づいてもらえるか、工夫が必要です。一番大事なことは、月次損益計算書の内容を共有することです。 

  1. 値決めは経営

値決めを間違いますと、いくら頑張っても経営は成り立ちません。値決めは経営そのものです。ですからトップが決断しなければなりません。 

例えば、競争相手が100円で売っているから、うちは90円で売ろう。ところが売上数量は増えたけれど、原価・経費をカバーできない。110円で売ると売上数量が減少し、人件費、固定費をカバーできず、経営が成り立たない。 

売価の決定には、原材料費、労務費、製造間接費、一般管理販売費、その中でも固定費をどこまで削減できるか等、全社の活動を考えなければならないから、経営なのです。営業部長が売値を決めることはできません。 

社長は、全社の活動をよく日頃から理解していなければ売価の決定はできません。社長は現場をよく知っていなければならないということです。 

  1. 経営は強い意志で決まる

経営者は、絶えず予断しない、不測のことに面します。競争相手、お客様の倒産、経済不況、自然災害、従業員不正行為、違法行為、訴訟、枚挙にいとまがありません。 

そうした時、自分の会社の目標が達成できないのではないかと悩みます。こうした事態に対しても、自分の信じた道を必死に置いていく、テコでも動かない強い意志、そういう強い意志が、先行き不透明な時代の経営には必要なのです。 

さらに経営者に迷いがありますと、従業員が一番に感じ取ります。従業員が不安になり、自信をなくし、会社の目的・意義について疑い出すのです。従業員に不安を与えてはなりません。 

  1. 燃える闘魂

経営には戦う勇気がいります。困難に面しても、従業員とその家族を守っていくには、激しい闘心がいります。母鳥がひよこを守るように、又、野牛がみんなで子牛をライオンから守るように、経営者はリーダーとして、会社を守り、従業員とその家族を守らなければなりません。 

もう1つは自分自身が自分の信念、目標に不安になったとき、自分を奮い立たせる、燃える闘魂が必要なのです。何くそ頑張るぞと自分を燃え上らせることが大事なのです。 

  1. 勇気をもって事に当る

経営する場合、卑怯な振る舞いがあってはなりません。自分の信念を貫き、困難に面しても、恨むようなことがあってはなりません。従業員の先頭に立つ勇気が経営者には不可欠なのです。 

  1. 常に創造的な仕事を行う

日々創意工夫を重ねることです。今日よりは明日、明日よりは明後日と、常に改良改善を絶え間なく続け、創意工夫を重ねていきます。 

お客様が抱えている問題を一緒に考え、解決策を練る。そうした創意工夫が自分自身の技術の向上に、会社の新しいプロジェクトになるのです。いつもチャレンジしていく姿勢が大事です。 

  1. 思いやりの心で誠実に

経営者には激しい闘魂、強い意志が必要ですが、同時に相手を思いやる心が必要なのです。目標達成の為に従業員に厳しい注文をつけることがあっても、一方では従業員の苦労を理解し、その苦労にむくうことも大事です。従業員が信頼してくれるようになる為には、経営者は真面目でやさしく、美しい、思いやりに満ちた心が必要なのです。 

  1. 常に明るく前向きで、夢と希望を抱いて素直な心で経営する

困難に面しても、過去のことにいつまでも固執することなく、目標に向って、明るく、前向きに、夢と希望を抱いて、経営することが大事です。 

前向きになるためには、いつも創造的なことに力を注ぎ、毎日創意工夫に力を注ぐようにします。そして、従業員と夢を共有するように、ことあるごとに夢を語り、一歩一歩実現していくのです。実現していく姿を見た従業員は、夢を信じ、前向きに、明るくなっていくのです。 

信ずれば必ず会社はガラリと変わる

経営12ヶ条を唯単に知っている、頭で理解しているだけでは不充分なのです。心の中に信念として持てるようになるまで、繰り返し繰り返し理性でもて心に染み込ませていくのです。 

これは経営者だけではなく、従業員にも理解を求め、従業員も経営12ヶ条を心に染み込ませてくれるように、共有してくれるようにすることが大事です。 

こうした努力を1年も続けますと、会社はガラリと変わるのです。変わらないのは、経営12ヶ条が心に染み込んでいないからです。自分自身が信じ込み、従業員もそれを信じ込んでいけば、会社はガラリと変わるのです。