盛和塾 読後感想文 第134号

エネルギーをほとばしらせる 

大事を成すにあたっては“狂であれ”と、すべての情熱を燃やし尽くすことが必要です。 

情熱というのは、克服困難と見えるような障害を乗り越えようとする、果敢にチャレンジするために必要なエネルギーとなるのです。燃えるような熱意、強烈な意志力、強い決意や執念などが、バリアを打ち破るエネルギーの源となるのです。困難を克服するには、このエネルギーが必要であり、“狂である“という事は、凄まじいほどのエネルギーに満ちた状態です。 

困難に打ち克つには、エネルギーを集中させ、人間の潜在能力を引き出さなくてはなりません。それが人々を成功へと推し進めていくのです。 

情熱を燃やし、強力な意志力、強い意志力を集中させるのには、多くのことを一瞬に成し遂げようとする事はできないのです。一点集中することにより、エネルギーのレベルが高くなり、成功の道を切り開いていくのです。 

友人の1人にハンディマンがいます。彼はハンディマンの仕事一筋に30年を費やし、周囲に多くの友人を作り、使用目的に応じたトラック3台、そのトラックには完全な道具を備えて、仕事に向かうそうです。人の為、お客様の為、世のために“自分は尽くす“と、それが“楽しい”と言うのです。30年間情熱を燃やし続けるのは、並大抵のことではないと思います。 

人の上に立つ人の心 

人材は群生する

江戸時代末期、明治維新という一大革命を起こした原動力は、鹿児島県の西郷隆盛以下、加治集団一角で生まれた人々でした。水戸、土佐、長州、今の山口県の人々も大きな貢献をしました。 

つまり、人材は共生し合って群生する。人材というのは、お互いに切磋琢磨しながら、育っていくのです。 

鹿児島の経営者皆に可能性があります。貧しい鹿児島県の稲盛和夫を京都の方々は信用してくれて、一千三百万円というお金を出資してくださり、それをもとに京都セラミックという会社が創業したのです。 

その京セラが会社設立後23年目になりました。自己資本は千四百億円になっています。千三百万円が、千四百億円になったのです。一万倍になったのです。 

北は北海道から南は鹿児島まで、工場が11カ所、約九千名近い従業員がいます。アメリカには6つの工場があり、約千名のアメリカ人が就業しています。

またヨーロッパ、東南アジアにも工場をたくさん持っています。 

塾長は決して頭が良くて、秀才であったわけでは無いのです。高校受験にも、大学受験にも失敗したという経験があります。しかし、鹿児島大学に入学してからは、勉強もよくし、成績も優秀な方になったそうです。 

上記のように、稲盛塾長が京セラを成功に導いたことを見ますと、“自分もやればできる”と思えるようになります。 

成功する人の考え方 

  1. 未来を明るく、楽観的に捉える

稲盛家には7人兄弟、貧乏人の子沢山でした。普通、貧乏になると人間は歪みやすいものです。しかし稲盛塾長は音が明るく、いくら貧乏していても世の中の矛盾を感じたりせず、未来に対して素晴らしい夢を持っていたそうです。 

稲盛塾長には、2歳年下の妹がいました。家が貧しいため、高校中退して“兄ちゃんは頭がいいから、勉強して、私は頭が悪いから、働きに出て、家計を助けるから”と言って働いてくれたそうです。 

“今に兄ちゃんが大学を出て偉くなって、10倍にして返すから、500円貸してくれ”と稲盛塾長が言うと、妹さんは“いつもホラばかり。でも500円あげよう”と500円くれました。 

成功している人のパターンを見ても、自分の未来に対して大変明るく楽天的な人であるというのが第一条件です。陰気で深刻に考える性格ではいけません。 

新しい困難な研究に取り組む時は“今後はこういう研究を始めたいと思う”と議論する会議を開きます。この際、一流大学を出た技術者がいますが、常日頃から青白い、難しそうな顔した技術者は最初集めません。彼らはよく勉強していますから、すぐに問題点を指摘します。こういう人たちが研究プロジェクトは不可能ですと結論する傾向があるのです。 

したがって、販売部の付和雷同するような人を集めて話をします。“社長それはできますよ“といいます。最初は楽観的な、前向きの人を集めて取り組ませるのです。“困難を乗り越えて、それでもやれる”という楽天的な人の意見を取り入れます。 

  1. 悲観的に計画する

事業をするには賢い人が要ります。頭の良い人は“社長は何もわかっていない。どうしてこうした人が社長なのだ”と思うのです。これではいけません。“この社長の為ならば”と一生懸命努力、仕事をしてくれるタイプに変わってもらわなければなりません。 

頭が良い人間は早い段階から溝が見えているため、“そちらに行ってはダメ”“そこは川があるからダメ”“向こうには山があるからダメ”というように、結局はこのプロジェクトはダメとなるのです。何もしない方が良いという結論に達するのです。ですからこういうタイプの人集めてはいけないのです。 

楽天的な人は、多少川があろうが、山があろうが、行こうとします。先に障害があると注意してやる必要があります。しかし、楽天的に、自分の人生を考えて、何が何でもやり抜こうとすることが大切です。 

もちろん計画の段階では、悲観的に物事を見つめる。どうして難しいのか、それでも“工夫さえすれば達成できるはずだ”と自分で思い込むのです。 

  1. 大事な事は思い込むこと

最初は難しい事は考えないほうがいいのです。“全て簡単に実現できそうだ”と自分自身が思い込む。自分の部下にもそう思い込ませる。1番重要な事は、自分自身の可能性を信じることです。“あいつが成功したのだから、それを一生懸命取り組めばできるはずだ。” 

できると自分に信じ込ませるのです。同時に、自分だけではなく部下にも“君も能力があり、やり方によってはできる”と同じように信じ込ませるのです。繰り返し自分に言い聞かせ、奮い立たせるのです。 

人間は、自分自身を信じられないと行動できません。セルフモチベーション“自らを励まし、奮い立たせる”。リーダーは色々な圧迫や悪条件に向き合うので、自分を自分で励ます必要があるのです。 

同業者がいるとか、ネガティブな条件があります。こうしたネガティブな問題点を克服して、一つ一つ解決する方法を考えていきます。目標決めたならば、それを曲げず、どういう行動とればいいかという具体的な作戦を必死に練る必要があります。 

たかだか一日考えるだけでは良い策は出てきません。“これは売れるはずだ、何とか工夫して売らなければならない”と来る日も来る日も考えるのです。 

  1. 京セラの経営における実践

京セラの役員会で新しい経営計画を発表しました。京セラが一千四百億円から、売上二千億円に成長発展していくために、どういう手を打つべきか、という次の手です。1ヵ月半ほどかけて考えたものです。 

考え続けていくうちに、役員に“こういう展開をしていきたい”と吹きこぼれそうな考えを話したのです。自分が思い込んだら次に部下にも思い込ませる。 

次に実行を念頭に置いて、さらに考えを深めると、悪条件がたくさん出てくるため、全部書き出し、どのように解決していくかを考えます。毎日考えていれば、ある瞬間にパッとひらめきます。一生懸命に考えると、そのうち良い方法が思いつくのですが、まだ実行はしません。次に頭の中でシュミレーションします。 

考えがまとまり、この計画でこうすれば利益が出るとはっきりした絵が浮かびます。その時、初めて実行に移すのです。 

しかし、頭で考えただけの事は、実際はうまくいかないのです。最初はやれると信じ、五ヶ月ほどの損失は覚悟し、お金も準備して始めた。ところがたちまちのうちに資金は底をつく、という苦労が始まります。“このままでは借金を背負いこむ。手を打ったがうまくいかない。”皆やめます。 

うまくいくと信じて始めても、“にっちもさっちもいかない”と思ったところで、普通の人はやめてしまいます。実はその時が始まりです。“もうダメだけだからやめよう。これ以上継続すれば借金が大変なことになる。”という時に止めるから、不成功者、失敗者になるのです。そこまでの準備期間です。“もうダメだという時が仕事の始まり”なのです。それを知らないから準備期間につぎ込んだ資金が全て無駄になってしまうのです。

ただしそれは、綿密に計画を立て、考えに考え抜いて“やれる”と信じ込み、始めた人の話です。思いつきで借金を作り、“もうダメだ”と後悔しても大失敗に終わるだけです。 

考えに考え、綿密に計画を立てる。それさえすれば、物事は100%成功します。 

  1. 心に描く観念が宇宙を創る

京セラでは、過去二十三年六ヶ月間、京セラ研究開発プロジェクトで、失敗はたった1つです。京セラでは、十のテーマに取り組めば、十のテーマを全て成功させます。成功しないのは、途中で諦めてしまうからです。“成功しないだろう”と思う心が成功させないのです。京セラでは5年でも10年でも研究を続けます。宗教家もよく“この世が地獄になるのも極楽になるのも、あなたの心に描くままです”といいます。“ものが存在するのは、そう思うあなたの心の反映です。“ある”ように見えるのは、存在すると思うからです。“無い”と思えば存在しないのです。”とも言います。これが、“心に描く観念が宇宙を作る”ということなのです。 

成功するための条件とは、心の動きです。成功すると思うと成功するし、失敗すると思うと失敗する。まさに心に描く通りに現象が起き、成就していきます。 

今日の京セラの会社を作ったのも、この心の動きなのです。京セラ創業時一千三百万円の資本金が二十三年六ヶ月後には一千四百億の自己資本の会社になっています。 

“さぞかし、凄まじい努力、苦労をされ、京セラを成長発展させて来られたでしょう”と新聞記者が京セラに取材に来ました。しかし“いや何も苦労はしていません”と答えますと、“いや,何かあるでしょう”と一生懸命聞き出そうとします。 

外国の新聞記者が“あなたは科学者、技術屋としても世界有数の人物で、素晴らしい頭脳を持っている。なぜ、そのような素晴らしい展開ができるのですか”と言って賞賛してくれました。しかしこれは自分の頭脳でできたのでは無いのです。一番の原動力は、やはり“心”なのです。まず、心の中で思い込む。これが物事をなすのに一番大事なことです。このことを信じなければならないのです。