盛和塾 読後感想文 第156号

人生で一番大切なこと 

稲盛塾長は若い頃から、目的を持ったら本当にまっしぐらに、何の邪心もなしに、目的に向って邁進してきました。もう脇目もふらずに一生懸命、それに向って努力をする、右顧左眄(うこさこ)しないで、先に何があろうとも、何も見えなくとも、とにかく進むべき方向を決めたら、それに向って必死に努力をするという生き方をされてきました。 

大学を卒業して松風工業に就職、電力用の絶縁碍子(がいし)を作っている陶磁器メーカーで大きな会社でしたが、一般の焼き物の世界だけでは将来がないだろうと、今後発展していくであろう特殊な焼き物について独学で研究を始め、色々なものを開発していきました。 

その頃住んでいた寮には食堂がなかった為、会社に金属窯を持ち込んで自炊を始めました。ある日、稲盛塾長の机に弁当が置いてありました。誰が持って来たのかわからなかったのですが、食べました。すると明くる日も弁当が置いてあります。こうして毎日弁当にあずかるようになりました。その弁当を作ってくれていた女性が、稲盛塾長のお嫁さんになりました。 

奥さんは稲盛塾長が仕事に打ち込んでいる姿にひかれたと思われます。奥さんは人物を見分けることのできる賢い女性だったのです。一生懸命に何事かに向って努力をする姿は頼もしく、美しいものと写ったに違いありません。周囲の人達を巻き込むくらい、一生懸命、一心不乱に仕事に打ち込むことは尊いことです。 

環境が悪かろうと何がどうあろうと、とにかく自分の人生を一生懸命前向きに生きるということが人生で一番大切なことだと稲盛塾長は語っています。 

盛和塾は2019年末、解散しました。稲盛塾長の三十六年の盛和塾の活動は、日本、中国、ブラジルと、国境を越えて多くの経営者の育成に寄与しました。