盛和塾 読後感想文 第三十八号

新産業創出先駆者の提言

塾長の経験と他の先駆者の提言ではどうしたら、経済社会に多大な有益な影響を及ぼすかについて述べられています。フェアチャイルド社、インテル、テキサスインストルメント、京セラ等のように世界の経済社会に、大きな影響を及ぼし、人類に貢献するようにするにはどうすべきか。

社会が企業というものを評価し、例え、中小企業であっても、従業員を雇用して税金を払い国を支えている、社会に役立っていることを理解してくれるように政府機関も国民も考えていただく。中小企業の経営者も誇りを持って仕事に励む。こうしたことがベンチャービジネスを生み出す風土となる。

ベンチャービジネスを成功させる為には独創的であること、緻密な計画を立てる経営が必要。事業の目的・大義名分が必要。 “動機善なりや私心なかりしか。”

投資に対する情報の開示が必要である。そうすることにより、投資家からの支援を受けることが可能になる。

株式を公開する事を通じて、経営者、従業員、投資家が資本所得(キャピタルゲイン)を得、関係者に経済的利益を分配する。ベンチャーキャピタリストはその利益の一部を社会に還元する。

社会の各利益関係者が、得た利益/所得を分かち合えることがベンチャーキャピタルを成功させる道と考えます。

なぜ経営に哲学が必要か-新彊ウイグル自治区

塾長は戦後日本経済の発展と危機的状況を簡単にまとめられました。バブル経済からデフレに陥り、巨額の財政赤字を抱える日本経済。

名経営者と言われた人、有力政治家が傲慢と欲望にかられてスキャンダルにかかわり、失脚してしまいました。

主な原因は資本主義を支えてきた倫理観の喪失があったことによる、マックスウェーバーが唱えた産業活動で得た利益は発展の為に生かすという哲学を忘れてしまったことが原因と思われる。日本では江戸中期の石田梅岩の “心学” を忘れてしまった。

正しい経営哲学-人間として何が正しいか-を基準に経営者も従業員も正しい経営哲学 を共有することが最も重要と塾長は語っています。

塾長が自問した “動機善なりや、私心なかりしか”  中国の古典、 “積善の家に余慶あり”  “満は損を招き、謙は益を受く。” 善いことを続けると、その家には福が宿る、欲望を持つと損失を蒙る、謙遜は利益をもたらす。これらはいずれも “人間として何が正しいか”  “利他の心” を述べたものと思います。

世界的な観点からも、自国の利だけではなく、他の国に対する “利他の心” が、互いに信頼し、尊敬しあえる関係構築に必要と塾長は説かれています。