盛和塾 読後感想文 第六十五号

反省ある人生をおくる 

自分自身を高めようとするなら “日々の判断や行為が、はたして人生として正しいものかどうか、奢り驕ぶりがないかどうか” を常に謙虚に反省し、自らを戒めていかなければなりません。 

毎日自分の言ったこと、したことを反省しますと、自らを戒めることができます。毎日反省しないと、人間はいつのまにか油断して気がゆるみ、奢り驕るようになってしまいます。 

忙しい毎日をおくっている私達は、つい自分を見失いがちです。そうならないために、意識して反省する習慣をつけるようにしなければなりません。そして自分の欠点を直し、自らを高めることができるのです。 

 

人生と経営 -経営を大成させる4つの心得 

リーダーとして持つべき人間性を学ぶ

アメリカに来られて事業を展開されている日本人の会社が、大きく成長・発展していないのは何故なのか。アメリカの人たちから “なるほど日本人は素晴らしい人間性を、才能を持っている” と尊敬されるようにならなければならないのです。そうでなければ、アメリカで働いている人達、異なった文化・習慣をもっている人達を使って経営することは困難なのです。 

“リーダーとしてどのような人間性を持たなければならないか” ということを学ぶことが、会社を発展させていくための絶対条件です。外国人の従業員からの尊敬を勝ち取るには、まず、そこから始めていくことが経営者として最も大事なことなのです。 

これまでにアメリカで立派な事業をされておられる方々も、さらに大成していかれる為には、以下に述べる4つの考え方が必要なのです。 

謙虚にして驕らず 

  1. 成功が驕りを生みだしていく

だいたい事業がうまくいき始めますと、人は知らず知らずのうちに驕り高ぶっていきます。ほとんどの人は “いや私は決してそうではない” と言われます。自分自身が驕り高ぶっているかどうかわかるようであれば誰も驕り高ぶったりはしません。自分で驕り高ぶっているかどうかを判断することは難しいのです。成功したことが、知らず知らずのうちに。自分を驕り高ぶらせていくのです。 

“謙虚にして驕らずさらに努力を、現在は過去の結果、将来は今後の努力で” と考えるべきなのです。慢心を戒めることが大事です。謙虚にして驕らずと反省を繰り返していくうちに、自分の才能や能力を自分のものと勘違いして、自分はすばらしい才能を、能力を持っているのだと思いはじめますと、そこから驕り高ぶりが出てくるのです。自分の才能や能力は自分のもの、私物化してはならないのです。才能や能力は、神様からの授かり物なのです。 

  1. 存在という人間の本質

なぜ、自分が持っている才能や能力を私物化してはならないのかは、人間の本質を考えて見ると、明白なのです。 

哲学者の井筒先生はヨガの勉強をされ、瞑想もされておられ、人間や自然界の本質を極めようとされました。瞑想の中で、意識が精妙になり、五感のすべての感動がなくなり、“存在” としかいいようのない意識状態になられたそうです。しかし自分は厳然と存在しているという意識だけが残りました。そこで、自分だけではなく、周りのものもすべて、存在として認識できるのではないかと思われました。存在が花を演じている、存在が井筒という人間を演じていると考えられるのではないかと思ったそうです。 

森羅万象あらゆるものは、存在が演じているのではないか。存在としかいいようもないもので、この宇宙は成り立っている。 

  1. すべてのものに仏が宿る

比叡山の天台宗では人間の本質、ものの本質のことを “山川草木悉皆成仏”-山も川も草も木も森羅万象あらゆるものに仏が宿ると教えています。この “仏” とは井筒先生が言われる “存在といしかいいようのないもの” と同じものです。仏が化身をして、花になり、お米になり、人間にもなっている。生きとし生けるものはすべて等しく同じルーツからできあがっていると考えられるのです。 

  1. 才能は神様からの預かり物

我々はなぜこれほど多様な人間性を持ち、この世に生まれてきたのでしょうか。我々は自分の意思で生まれて来たのではありません。才能や容姿は偶然、皆さんが持ったものであり、神様がいるとしたら、神様から頂戴したものではないでしょうか。 

この世は多様な人間がいます。同じ均質な人間が集まったのでは社会が機能しないのです。それぞれ違った才能を持っているが故にお互いに足りない処を補い合って、協調して社会が成り立っているのです。その為、神様はバラエティに富んだ人々をこの世に送りだしたのです。 

  1. 才能の私物化が傲慢不遜を呼び起こす

神様はバラエティに富んだ人々をこの世に送り込みました。Aさんはある才能にめぐまれており、その才能を生かして成功されたとします。Aさんは、自分は才能があり、こうした成功を手に入れたのだ。従って自分は沢山の給与をもらって当然だと考えてしまうのが人間です。 

しかし先述しました様に、自分の持っている才能、才覚も神様から預かった現世における一時的な預り物なのです。神様、宇宙が自分に与えてくれた、素晴しい才能は、集団の為、社会の為、世のため人のために使えと与えてくれたものなのです。預り物なのです。預り物は自分のもの、私物ではないのです。 

従って、預り物で成功した果実は自分のものではないのです。みんなのものなのです。他の人はそれぞれ違った才能・才覚を神様から預り、その預り物を使って成功しているのです。自分自身の才能に溺れ、傲慢になっていこうとする自分に気づき、厳しく自分を戒めることが大事です。 

思いは実現する 

  1. 思念は業(原因)を作り、業は果(結果)となり現れる

我々人間は “思う” という行為をします。思念(思うこと)は物事がもたらされる原因を作るといわれています。 

すなわち、思いは原因を作り、原因は結実して実(実現)をむすぶということだと思います。思いが原因を作りますとそれが現象面に現れて実現するのです。何かを思ったことが、業(原因)が発芽し、自分の目の前に、現象面に現れてくるのです。善いことを思えば必ず良い結果が生まれ、悪いことを思えば必ず悪い結果を招いてしまうのです。 

  1. 災難、困難は業が消え去るとき

仕事をしていますと、いろいろな災難や困難なことに遭遇することがあります。職場で、上司や同僚や部下とおり合いが悪くなった、お客様からしょっちゅう苦情がくる、仕入先が納期を守ってくれない、様々なことに直面します。ときには人から避難中傷を受けることもあります。来る日も来る日も重苦しい空気に圧倒され、生きているのも嫌になるくらい苦しい日々もあります。 

災難があったとはどういうことなのか、それは我々が過去に心に思ったことが現象面に現れて来たからなのです。業(原因)が表面化したことなのです。災難に遭遇したのは、過去の思いが現れ、消えていくことなのです。ですから、災難にあったら、自分の思いが間違っておったと気づかされる機会なのです。 

自分がなぜ困難に遭わなければならないのかと考えた時、自分がその原因を作り、自分のまいた種が結果として困難を作ってしまった、自分にその原因があったことに気づくことが大事です。 

過去に悪いことを思い、悪い行いをして、たくさんの業(原因)を積み、たくさんの原因をつくったことが災難という形で現象面に現れた、そして、それ(災難に遭うこと)によって過去に積んだ悪い業が消えていった。 

それはちょうど川の中のゴミ(悪い思い、業、原因)が、洪水(災難)によって、洗い流されたとと考えるべきものです。 

  1. 因果応報の法則のままに

“我々の思いが災難や幸運として必ず実現する” と言ってもなかなか信用してもらえないことがほとんどだと思います。思ったことが結果として現われるまでには大変な時間がかかってしまうのです。 

人には生まれた時から運命があると言われています。運がよい時もあれば悪い時もあります。運が悪い時に直面します。仮に善き思いを持ち、善きことをしても、その時は、悪い運命と相殺され、多少悪い運を上向きに訂正する程度になることもあります。逆に、悪いことを思い、悪い行いをした時、良い運の波に乗っていますと、良い運が悪い思い、悪い行いから来る悪い結果を相殺してしまいます。こういったことがある為、人々は “因果応報の法則” を信じないのです。 

私達の周辺では、素晴しい行いをしているのに、それほど幸せな人生を送っていない人もいます。逆に、横着でわがままで悪い人なのに、幸せそうに暮している人もいます。短期間で見れば、そう見えるのですが、二十年、三十年と達して見てみますと、“因果応報の法則” が厳然と働いていることがわかります。善いことをした人には必ずよい結果が生まれていますし、悪いことを思い、悪い事をした人には必ず悪い結果が生まれています。 

先般のバブル経済時、りっぱな経済人、経営者が、バブル崩壊後、傷つき、消えていきました。 

独りよがりで、エゴの塊(かたまり)となった思念、思いは、いずれ必ず自分の身を滅ぼすという結果を招くことになります。 

宇宙はあらゆるものを成長発展させる 

宇宙は、素晴しい努力をしたすべてのものを必ず成長・発展させます。自然の力が、この宇宙には流れています。発展を促すと同時に、宇宙には調節をもたらす力も働くようになっています。“宇宙の法則” といえます。 

調節するとは、すべてがうまくいくように、利己から利他へという力が働いているということです。 

宇宙がはじまる時は、この宇宙は、ひと握りの素粒子でしかなかったものが、大爆発を起こし、今も膨張を続けているそうです。 

素粒子から陽子、、中性子、中間子、さらに原子核が構成された。原子核に電子がつかまり、水素原子が生まれた。こうした宇宙の働きが我々人類を生みだしました。 

この宇宙には森羅万象あらゆるものを進化発展させようとする力が働いています。仏教でいわれている慈悲、キリスト教でいわれている愛が、この宇宙には充満していると考えられます。 

利他の心が調和をもたらす 

  1. 愛が持つ二つの力

経営者は、他のものと調和を図ろうとする利他の心を持つことです。宇宙の “すべてのものを成長・発展させよう” という愛、その愛は調和をとる方向へも力を働かせています。 

地球には “引力” がありますが、“摩擦” があります。下道をころげる力(引力)に対して、それをとどめようとする力(摩擦))があるのです。 

巨大化した企業は独占企業となり、社会の発展の妨げになりますと、政府機関から独占禁止法が制定され、分割されていきました。分社化された企業は、異なる分野へと進出して成長・発展してきました。これは調和をはかる為に必要なことなのです。 

  1. 思いやりの心が他との調和をもたらしていく

巨大に成長・発展していくものが、宇宙、社会のバランスを崩して潰えていく、すなわち、自分だけが成長・発展するのではなく、他とも一緒に成長・発展し、共に生きていこうという思いやりの心が大切です。 

自然界に於ても、巨大化したものは分解され、消滅し、新しいものに変革されて来ました。 

宇宙には愛という力が存在し、その力はすべてのものを成長・発展・進化させるようとする方向に働きます。一生懸命生きようとする、努力をするものに対しては宇宙は無限の愛を注いでくれると思われます。私達が一生懸命に努力をすれば、必ず会社はうまくいきます。会社がうまくいかないのは、私達の周囲の責任ではなく、自分自身の努力不足だからです。 

うまくいっている人は、朝から晩まで本当に一生懸命に働いています。一生懸命に働き、一生懸命に努力すれば、宇宙が応援してくれるのです。 

宇宙は引力と摩擦、成長・発展と分解というように、調和も求めています。自分だけがよければよいという考え方、つまりエゴ、利己は宇宙が望まないのです。 

自分の会社をよくしていくなかで、自分の従業員を幸せにしようと思います。従業員を幸せにする為には、仕入先も幸せにする、あるいは地域社会の人達も幸せにしたいと考える、これが宇宙が求めている調和の世界なのです。 

努力して会社を成長・発展させながら、同時に心の奥底に利他の心、愛の心、思いやりの心を持ち、調和していこうという生き方が大切です。 

  1. 心がつくる四つのゾーン 

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Y軸は努力の程度を表します。上の方向は努力、下の方向は怠ける方向です。

X軸は、右への方向は家族、従業員、お客様、仕入先、社会のため、利他の心、左の方向は自分だけがよいという利己の心です。 

Ⓐの世界:一生懸命努力します。しかし自分だけがよければよいと考えています。成功は長続きしません。波乱万丈です。 

Ⓑの世界:一生懸命努力します。しかし利他の心が充満しています。現世における極楽です。 

Ⓒの世界:怠けもので、しかも、自分だけがよければよいと考えています。年中不満をいいます。俺はやっているのに、周りの連中がおかしいと、年中愚痴っています。地獄です。 

Ⓓの世界:一生懸命努力はしない。成長・発展する気がありません。植物界です。 

私達はⒷの世界を目指すのです。一生懸命に努力し、利他の心を持ち、美しい心根を持っていれば、限りなく成長・発展していく世界です。 

素晴らしい経営を目ざして 

  1. 四つの心得を守れば必ず大成する
  2. 謙虚にして驕らず:自分の才能を私物化してはならない
  3. 因果応報の法則:善き思いを一生持ち続けるように努力する
  4. 宇宙の法則:宇宙には努力をするものを進化発展させる力があり、調和を求める力がある。努力をした人には宇宙が応援してくれる。
  5. 宇宙や社会と調和をしながら発展していく 
  1. 経営の原点12ヶ条を血肉化し、尊敬を得る経営者に

盛和塾で学んだことを、繰り返し繰り返し、読み、実践していく努力、血肉化をすれば、尊敬される経営者になれます。