盛和塾 読後感想文 第三十九号

高い目標を持つ

高い目標を持つことは、会社全体の発展に不可欠なものだと思います。経営者は会社の心臓です。経営者は目標を定め、夢を語り、目標を描き、従業員、仕入先、顧客と共に、目標の山の頂上を目指し、ひいては社会や国の発展に貢献します。 

善き事を為す 

1. 因果応報の法則

過去に名経営者と呼ばれた人達が、後年に没落していく話が枚挙にいとまがありません。企業経営は繁栄と没落の繰り返しの歴史です。人生というドラマがこのように繰り返され、人は過ちを起こします。仏教の教え “善根は善果を生み、悪根は悪果を生む” というものがあります(因果応報の法則)。善き事を行えば善い結果が、悪い事を行えば悪い結果が生まれるという法則。子供の頃よく言われた言葉を塾長は言っています。“悪い事をすればバチが当たるよ。”しかし、善い事を思ったからといって、善い事をしたからといって、すぐに良い結果が出るわけではない。何年もかかって良い結果が出るかもしれないし、出ないかもしれない。それどころか、悪い事をした者がお金持ちになったりするではないかと考えてしまうと、大事な人生の法則を理解していないこととなる。中国の禅寺の雲谷禅師は、人間の運命は変えることが出来ること。“人生には因果応報という厳然たる法則がある。善きこと、すなわち、善を思い、善を行えば、必ずあなたの人生は変わる。”と禅寺に座禅を組みに来た袁学海(えんがっかい)という人に諭されたそうです。袁学海はその後、雲谷禅師の教えに乗っ取って人生を全うしたそうです。袁学海は名を袁了凡(えんりょうぼん)と改め、その息子に “陰騭録(いんしつろく)” という本を与えた。袁了凡は素直に因果応報の法則を実践して、立派な長官としての人生を送った。雲谷禅師は袁了凡に云います。“自分の心に向かって道徳、仁義を求めるように努力をすれば、心の外にある功名も富貴も二つながらに得ることが出来る。” と教えました。

2. 善きこと 

善きこととは仏様の六波羅蜜-布施、持戒、精進、忍辱、禅定、智慧-の修行をすること。それは塾長の唱える六つの精進と同じもの。 

①  誰にも負けない努力をする

②  謙虚にして驕らず

③  毎日の反省を行う

④  生きていることに感謝する

⑤  善行、利他行を積む

⑥  感性的な悩みをしない 

3. 試練への対応

自然界は我々に試練を与えて、その試練をどのように乗り越えていくかをつぶさに観察している。その試練に対する処し方が良ければ善い結果が生まれ、悪ければ悪い結果が生まれる。災難に遭ったり、苦難に遭った時、その苦しさに負けて世を恨み、人を妬み、不平不満を漏らし、世をすねた人は、人生をさらに暗く辛いものにしてしまう。逆にその苦しさに耐え、いつか自分にも明るい未来があると信じて一生懸命精進していく人には、素晴らしい結果が待っている。 

因果の法則を信じて、実践される人には成功しかなく、失敗することはないと言えます。

宇宙、自然は、切磋琢磨して発展してきたわけですから、人間も経営者も、その宇宙の法則に従い、厳しい自然界、厳しい経済界の中で精進することが要求されていると思います。 

心の哲学と公共の経営(東京大学名誉教授 溝口雄三)

1. 優れた友は己の中にこそ存在する 

人は自分に不満足な時に、外に自分より優れた人に会って助けを求めたい、自分を向上させたいと思う。実は現在の自分に不満があるという気付きは、すでに自分を超えようとしている自分が己の中にあるということ。己に勝る友というのは実は、己の中の己なのであって、自分の中にある。決して外に自分より優れた人がいて、自分の手を引っ張ってくれるということはありません。己自身が己の心をより高めようをする気持ちの現れです。 

経営者は何故これをしているのか、これをして何の意味があるのかを考えざるを得ない状況にいつも直面している。塾長の経験“松下のおかげでこんなに安く、こんなに良い物ができるようになった。これも全部松下にしごかれたおかげだと感謝した。”とあります。 

京セラは他の下請け会社が松下に対して不満を言っている間に、松下のしごきを能動的に捉え、前向きに捉え、自分の技術力向上に役立てたわけです。塾長はこの時、京セラの役割り、塾長自身の役割り、使命を考えられて、松下の下請けをされていたと思います。恐らく、京セラの従業員を守っていくことを第一に考えたに違いないと思います。

2. 心の量を拡げる為に 

経営者の使命を考えていく中で、“一体私は何をしているのか。社会の中でどういう役割りを果たしていくのか。” という問いにぶつかります。会社は生き延びる為に、闘い、競争し、長期的にどう進んでいくかを決めなくてはなりません。反社会的な行為をすれば、会社は存続できません。社会に役立つ存在であることが必要となります。

こうしたことを通じて、経営者は自分の心を高め、利他の心に基づき、社会に貢献していこうと努力します。その為にも経営者は、心の量を大きくする努力が必要です。

盛和塾 読後感想文 第三十八号

新産業創出先駆者の提言

塾長の経験と他の先駆者の提言ではどうしたら、経済社会に多大な有益な影響を及ぼすかについて述べられています。フェアチャイルド社、インテル、テキサスインストルメント、京セラ等のように世界の経済社会に、大きな影響を及ぼし、人類に貢献するようにするにはどうすべきか。

社会が企業というものを評価し、例え、中小企業であっても、従業員を雇用して税金を払い国を支えている、社会に役立っていることを理解してくれるように政府機関も国民も考えていただく。中小企業の経営者も誇りを持って仕事に励む。こうしたことがベンチャービジネスを生み出す風土となる。

ベンチャービジネスを成功させる為には独創的であること、緻密な計画を立てる経営が必要。事業の目的・大義名分が必要。 “動機善なりや私心なかりしか。”

投資に対する情報の開示が必要である。そうすることにより、投資家からの支援を受けることが可能になる。

株式を公開する事を通じて、経営者、従業員、投資家が資本所得(キャピタルゲイン)を得、関係者に経済的利益を分配する。ベンチャーキャピタリストはその利益の一部を社会に還元する。

社会の各利益関係者が、得た利益/所得を分かち合えることがベンチャーキャピタルを成功させる道と考えます。

なぜ経営に哲学が必要か-新彊ウイグル自治区

塾長は戦後日本経済の発展と危機的状況を簡単にまとめられました。バブル経済からデフレに陥り、巨額の財政赤字を抱える日本経済。

名経営者と言われた人、有力政治家が傲慢と欲望にかられてスキャンダルにかかわり、失脚してしまいました。

主な原因は資本主義を支えてきた倫理観の喪失があったことによる、マックスウェーバーが唱えた産業活動で得た利益は発展の為に生かすという哲学を忘れてしまったことが原因と思われる。日本では江戸中期の石田梅岩の “心学” を忘れてしまった。

正しい経営哲学-人間として何が正しいか-を基準に経営者も従業員も正しい経営哲学 を共有することが最も重要と塾長は語っています。

塾長が自問した “動機善なりや、私心なかりしか”  中国の古典、 “積善の家に余慶あり”  “満は損を招き、謙は益を受く。” 善いことを続けると、その家には福が宿る、欲望を持つと損失を蒙る、謙遜は利益をもたらす。これらはいずれも “人間として何が正しいか”  “利他の心” を述べたものと思います。

世界的な観点からも、自国の利だけではなく、他の国に対する “利他の心” が、互いに信頼し、尊敬しあえる関係構築に必要と塾長は説かれています。

盛和塾 読後感想文 第三十七号

周囲の人に助けられ、育ててもらった幸運に感謝

(株)JSコーポレーション代表取締役 米田英一(北大阪)さんのお話の中で、彼の父の話が述べられています。

“父は仕事で忙しいにも関わらず、毎日必ず6時半頃には帰り、家族と一緒に御飯を食べてくれました。食卓を囲みながら、小学校であったその日の出来事を父に話すのが本当に楽しみでした。また、中学校の頃までは月に一回、家族みんなを飯盒炊さんのハイキングに連れて行ってくれました。-家族は仲良く、両親を大切にする-といったような事を教えてくれたように思います。”

これは私にとって、本当に衝撃的なことでした。と申しますのは、私は全く正反対の事を息子達にしてきたからです。息子達は私の背中を見て、行動を見て、学んでくれると勝手に思い込んでいたのでした。

米田さんのお話は会社経営の中で、家族主義をベースにする事と直結している考え方だと思います。従業員とのコミュニケーションを図り、従業員の仕事に関心を持ち、彼らの意見に耳を傾ける、という事と同じ事だとつくづく思います。家族主義とは、子供の話を聞いてやることと同じ事のように思われます。

今後は時間を惜しまずに従業員とのコミュニケーションを図る様、更なる努力をしたいと思いました。

 

盛和塾との出合いで一変したブラジルでの経営者人生

AMAZON WOODS LTDAの中井茂夫さんは波瀾万丈に富んだ人生の中で、奥さんに言われました。“お父さん、50歳になったら自殺すると言っていたね。死んだつもりになってAMAZONで稼ぎなさいよ。”

日本への材木輸出が止まった時、泣きの手紙を塾長へ書きました。塾長からの返事は、“悲観して泣きついたりせず、もっと強くならんか。”  “調子の良い時に気力が充実しているのは、誰でも出来ること。悪い時にこそ気力を振り絞り、頑張ることが成功の秘訣です。弱音を吐かず、頑張られることを期待します。”

中井さんの人生はアップダウンの激しいものですが、それを跳ね返して稲盛哲学をベースに頑張っておられます。

私の苦労なんてものは中井さんのどん底の経験からすれば、取るに足りない物だと思いました。 

 

雇用の場を提供して、青森の発展に尽くしたい 

アンデス電気株式会社 代表取締役社長 安田昭夫さんは、下請けを20年も続けて来られました。お客様の言うままに、会社を大きくしてしまった事を反省されていました。

安田さんはまた、闘病生活を強いられ、会社の経営も大変な問題を抱える事になりました。その再建の為に、多額の投資(11億円)をしました。それでも業績は回復せず、死を考えたほどでした。

しかし、苦労の末オンリーワンの技術-カラーフィルターの開発に成功しました。先行投資が芽を結び始めたのです。それは付加価値生産性が大幅に向上(下請け業と比べて)したことを表していました。

塾長講評の中で塾長は、“世界を相手に下請け製造技術を発揮してほしい。” と注文をつけています。下請けはコストが安い為に、メーカーさん達が組み立てや、委託製造を依頼してくるわけです。従って、コスト削減する方法も付加価値を上げる方法の一つだと思います。同じ下請けの仕事を続けていく中で、創意工夫が生まれるのだと思います。

 

人生の意義ー塾長が語ります

1.存在することに意義がある

植物も動物もただ単に存在するのではなく、それはあらゆるものと関連し合いながら、必然性を持って存在している。 

2.世の為、人の為に積極的に尽くす

我々人間は、強い “意思"  と “知恵” を持っている。こうした意志や知恵を世の為、人の為に尽くしてあげることが、人生をより意義あらしめるし、より充実した素晴らしい人生にしてくれる。すなわち、それは他を思いやる “利他の心” なのです。 

3.人生は魂を磨き上げるための場

人生の目的は、美しい魂を作り上げることであり、人生の苦難も試練、成功も試練であります。試練を素直に善意に受け入れ、前向きに努力する事が重要です。悲観的に屈折して試練を受け取ってはなりません。神様は我々に試練を与え、その人がどう試練を乗り越えていくかを見ています。試練は神様が我々の魂を磨くために与えてくれたものです。 

4.謙虚 反省 誠実 努力の日々に成功が開ける

会社がうまく行っても決して慢心してはならない。謙虚を忘れず反省しながら誠実に、人生を生きていくことが成功への道です。

 

六波羅蜜

塾長は心を高める為に、六波羅蜜を説いておられます。

1.世の為、人の為に尽くす “布施”(ふせ)

2.戒律を守る “自戒”(じかい)

3.一心不乱に働く “精進”(しょうじん)

4.耐え忍ぶ “忍辱”(にんにく)

5.心を鎮める “禅定”(ぜんじょう)

6.悟りに至ることができる “知恵”(ちえ)

世の中の為に貢献したいと思い、努力をする。その事が自分自身の心を高めることとなる。心を高めれば、会社の経営も立派になる、と塾長は述べています。 

塾長の謙虚、反省の姿勢にも驚きます。“人生の意義” を語っておられますが、“恐らく自分がまだ十分には理解していない為に、皆さんにとってわかり易い話ができないのだと反省しつつ、講話を終わらせていただきます。” と結んでおられます。このような謙虚な姿勢には塾生皆、感服しておられると思います。 

 

しがない土産物屋稼業の革新

株式会社中野屋 代表取締役 中野吉貫(よしつら)さんの失敗談―養子先でいろいろなビジネスに挑戦するも、いずれも失敗します。ビジネスホテル、サウナ風呂、焼肉店、高級漆器工芸品の店、全てに手を付け、全てに失敗しました。養子先の土産物屋を馬鹿にしていたのでした。

失敗の後、本業の土産物屋に戻り、土産品の “さぬきうどん” の開発に着手しました。“食べる直前に湯がいて食べますと美味しいうどんが楽しめます。” この発見が、“うどん打ち体験” 観光に繋がったそうです。お客様に "さぬきうどん" うどん打ち体験をしていただくという、新しい観光の始まりでした。

その “うどん打ち体験” が “中野うどん学校” の開校へと発展していきました。通信販売へも挑戦しました。株式会社中野屋は、人対人の接客サービス、手の届かないところへの細やかなサービスで大企業に対抗し、又同業者があまり行かない地方、小さな旅行業者、将来性のある人物がいる会社等への営業活動を中心にセールスしています。新商品の開発、独創性のあるセールスをベースとして、事業を拡大してきました。

経営の原点12ヶ条を最も大切にし、従業員に知らせ、その主旨を理解してもらう様に、努力をしています。

 1.事業の目的・意義を明確にする

 2.具体的な目標を立てる

を特に重要視しておられます。 

 

何故アメーバ経営が必要か-塾長の教え 

1.アメーバ経営の目的は、会社の経営理念/哲学を実現していく為の経営管理手法です。

  • マーケットに直結した部内別採算制度の確立

マーケットはお客様の要望であります。これはお客様第一主義、あるいは自分の事業、仕事は世の為、人の為にあるわけですから、絶えずお客様の要望、品質、価格、納期、アフターサービス等の要望を第一に考えて会社全体を、お客様の要望に迅速に応えていくという経営理念に基づいたものと考えます。

マーケットが決める価格(お客様が受け入れてくれる価格)を第一に考え、それに見合った製造原価、一般管理販売費をコントロールし、売値よりも安い原価で製品を作る必要がある。これが “売上最大  経費最小” の原則となります。

市場の動きに即座に対応する。売上最大、経費最小の原則をどう実行するのか。

-誰にでも解る時間当り採算表を従業員全員と共有する。労働時間1時間あたりの付加価値を計算することで、各部内(アメーバ)で働くメンバーがどれだけの付加価値を生み出したかがわかる。時間当り採算表の予定と実績を対比させることで、各アメーバの売上、生産、経費の予定に対して、進捗状況を把握する。アメーバリーダーはリアルタイムに、進捗状況を知ることができる。過去の原価データでは、即座にマーケットの変化に対応することはできない。 

  • 経営者意識を持つ人材を育成する

会社が急速に成長していくと、トップの社長一人だけでは全社を見ていくことは不可能となります。経営者としての自覚を持った人を一人でも多く育てていく必要が出てきます。営業部門、製造部門の責任者、営業部門も製造部門も大きくなるにつれて東部、西部、中西部の各責任者が必要となりますし、製造部門も大きくなり、A工程、B工程、C工程と各工程毎に責任者・経営者が必要となります。

それぞれのユニット・アメーバ組織を作り、各組織を一つの中小企業として採算管理をすることによって、アメーバリーダー経営者を育てます。

つまり、経営者意識を持った人材を育てていくのです。 

  • 経営理念をベースとした全員参加経営の実現

労使対立が発生することのないように、経営者が労働者の立場を理解し、その権利を尊重し、労働者の意識を向上させる。労働者も経営者の苦労や考え方を理解する。結果として両者が会社全体のためという考え方に立つようにする必要があります。=“大家族主義” 

2.アメーバ経営の要請 

  • アメーバ組織の作り方

-部内の収支がはっきりし、独立採算制が取れる単位

-事業として完結できる単位

-個の独立した会社として成り立つか。アメーバは独立採算で経営していくことが出来るようにしておくことが必要。

-会社全体の目的を遂行できる単位

独立採算組織としてのアメーバが会社全体として一貫した経営を阻害するようになってしまっては、元も子もないのです。アメーバとして細分化したものが、会社として調和がとれるように見直していくことが重要です。         

-常に組織を見直し続ける

アメーバがその時その時の事業内容に合った組織に名手いるかどうかの検討が必要です。 

  • アメーバ間の値決め

労働の価値に対する社会的な常識を踏まえ、公正に判断する。

  • アメーバ経営におけるリーダーの姿

-リーダーは全人格的に優れた人間でなければならない。

アメーバのリーダーは、人間としての普遍的な価値観、公平、公正、正義、誠実、忍耐、努力、親切、思いやり、謙虚、博愛を持っていなければならない。 

-アメーバのリーダーは各部門の代表でもあり、全社の利益を代表する人でもあります。 

  • アメーバ経営が実現するもの

すばらしい経営フィロソフィーを経営に具現化することが、その目標であります。すばらしい実績には全従業員からの賞賛と感謝をもって報いる。金銭には換算しないように日頃から人間としてのフィロソフィーの学びに努力する。

盛和塾 読後感想文 第三十六号

素晴らしい未来があると信じたとき人生はひらけていく

塾長は自分の失敗した経験を伝え、得たものを多摩少年院に入れられた子供と共有しようとして、 講演されています。

中学でも、大学でも入学試験に不合格となりました。敗戦後の日本でしたから、家族が貧乏になり、どん底の生活を強いられた。周囲の方々、特に先生方に勧められて両親や長兄や家族に支えられて、青年時代を過ごしたこと。大学卒業したものの就職難にあい、仕事が見つからなかったこと。こういうことの連続で  “世の中はなんと不公平だろう。”  “なんで自分はこんな目に遭わなければならないのだ。 自分がどれほど悪いことをしたのか。” と世をすねたこともあった。就職した会社も潰れかかっていました。暗い気持ちになった。

しかし、“どんな困難があろうとも、どんな苦しいことがあろうとも、前向きに生きて行こう。”と心に決めた。“私にもきっと幸運が訪れるはずだ。” と信じて、ひたむきに努力を続けてきたと塾長は語っています。 

  1. 試練は成長のための糧

神様は我々にいろいろな試練を与える。それは素晴らしい人間、美しい心を育んだ人間を生み出す為の神様からの贈り物かもしれません。

長い人生の中では、悪事に染まって反社会的なことをしてしまうことがあります。その時に落ち込んで、自分はもうダメだと暗い気持ちになります。これも神様が、仕組んだもので、我々が反省し更に前進する機会を与えられたと考えるべきだと塾長は語ってきます。

  1. 人生の結果=考え方x熱意x能力

人生の結果は能力、熱意と考え方によって決まる。

熱意や能力は考え方が良ければ、素晴らしい人生の結果をもたらす。マイナスの思考をすれば、人生の結果までマイナスになる可能性がある。 

毎日の仕事の中で、部下がなかなか行動を起こさない時、私はひどくがっかりし、落ち込んでしまいます。部下を非難する心が発生します。これは一見、私の事業の中では小さいことのように思うのですが、従業員に頑張ってもらうようにどうすればよいのかと考えるとき、非常に重要な事だと考えるようになってきました。私自身が落ち込むと、それが連鎖反応を起こし、従業員にマイナスの思考が発生します。従業員が行動を起こす様になってくれる為に何か自分に足りないことがあるかと考えてみる、或いは従業員とのコミュニケーションを変えてみる等、自分の従業員に対する接し方を変える、自分を変える機会にしようと思います。 

  1. 災難、挫折に決してへこたれるな

災難や挫折を神様が与えてくれた “成長の糧” であると塾長は、自分自身の体験を語っています。少年院に入っている少年に解りやすく説明をし、自分の体験を共有してもらおうとされる事に感心します。そして素晴らしい人生を送るように、少年たちを鼓舞しています。これも塾長の純粋な利他の心から生まれたものだと思います。

盛和塾 読後感想文 第三十五号

ビジネスの本質

ビジネスの本質を忘れることが良くあります。まわりに振り回されて、自社の本来のビジネスとは離れた処へ飛び石を打ってしまい、大きな資金を投入、又従業員を配置転換してしまうという誤りを良くしてしまいます。これは塾長の言われる原理原則(自社の本来のビジネス)から離れてしまうからだと思います。“隣の芝生は青い”と思ってしまうことは、慎まなくてはならない。

製品の語り掛ける声に耳を傾ける

これほどまでに、現場主義を通した例は聞いたことがありません。仕事に行き詰った時には、その対象となるものや事象を真剣に、謙虚に、素直に観察し続けると塾長は述べています。

こうした観察に継続して、魂を注入していくのには、相当な力と断固とした心構えが必要です。そうした心構えを養う方法は、とにかく自ら現場に出向いて、現場の人の働きを見、話をしていくことの積み重ねによって生まれる。そうすることにより、自然に断固とした心構えが生まれると思いました。 

弁護士の中坊公平さんが、森永ヒ素ミルク事件(約137人の乳児が亡くなった)の弁護団長を務められた機、70軒以上の家庭を訪問し、現状を見、お母さん方々の苦労を知り、何が最も良い方法かを探り出そうとしました。本当に頭の下がる、涙なしには読めないお話でした。人に感動を与えるぐらいの徹底した現実主義を見習いたいと思いました。

発明、発見は観察力の賜物

京セラが開発したアモルファスシリコンドラマ物語は、徹底した“観察とはこうあるべき”という教えだと思います。 

“機械の鳴き声を敏感に聞き取る”のお話も、いかに観察の感度が大切かを教えてくれています。何かがおかしい時というのは、調和が乱れている時だと言われています。こうした鋭い観察力は、日頃から“有意注意”をみがいていないと生まれないと思います。

松下幸之助に学んだ 松下流経営哲学の神髄

木野親之さんが松下幸之助さんとの仕事上から教わった教訓は、かけがえのない貴重な人生の宝物です。叱られっぱなしの40年間と言われておりますが、木野さんは見込みのある将来性のある人物だと松下幸之助は見抜いていたのです。“経営の究極は人間学にあり”ということですが、松下幸之助さんは、1946年にPHP (Peace and Happiness through Prosperity) 運動を始めたと言われています。第二次世界大戦で敗戦国となった日本をどう立て直していくのかを考えられた。

  1. 幽霊会社になったらあかんで。

“幽霊会社にだけはなるなよ”のお話の中で、一番怖いのは幽霊やなくて人間やで、世の中には幽霊人間がおり、そういう人が社長になり、足のない幽霊会社を経営しておる。と松下幸之助さんは言ったそうです。経理部長が会社の決算書を作成しても、しっかりと読まず、いい加減な経営をする社長、又経理部長自身が決算書をしっかりと読んでいない、これが幽霊会社やと松下幸之助さんは述べています。

  1. 困っても困ったらあかんで。

“困っても困ったらあかんで” のお話も、大変面白い話で、元気づけられます。外部からの色々な影響があってもそれに対処して、自分が困ったと思ってはいけない、振り回されてはいけない。万策尽きたと思うな。一生懸命やれば、必ず新しい風が吹く。この考えは塾長の教えと同じ、業績が目標を達成しないのを外部のせいだとしてはいけない、自分の仕事ぶりに問題があるのだ。 

  1. 君、社長を辞めたらどうや。”  

“君、社長を辞めたらどうや” のお話は、木野さん及びその部下が業績をいいことに天狗になっていたのだと思います。反省する、謙虚さがない、これでは大きな事業をやれない。大きな山には登れないと、松下幸之助さんは考えたと思います。“君だけでなく、全役員も全従業員も辞めさせろ” と言われた木野さん。“君が変われたらええんや。重役も全部変わり、社員も全部変わったらええ。大きな山に登れる人間に変わらんか” と松下幸之助さんは木野さんを諭しました。

  1. リース会社の大損

アメリカでのリース会社の失敗の時、木野さんは副社長からの批判を3時間も聞き、“もう松下を辞めよう”と決心し、東京に帰り、がっかりして銀座を飲み歩いた後、朝2時頃帰宅しました。 

松下幸之助さんは、木野さんの自宅に電話して、木野さんの奥さんに、木野さんが帰ったらいつでも良いから電話するようにと伝えてあった。松下幸之助さんは自分の枕元の直通電話番号を木野さんの奥さんに伝えてあったとあります。

電話をすると、アメリカのリース会社の話ではなく、明日上野の美術館に代理で行ってくれと言われました。あくる日、松下の本社に行ったら、“君は松下にものすごく大きな損害を与えた。それを全部弁償してくれるまで、君を辞めさせるわけにはいかんのや”と言われた木野さん。東京に帰った時、山下社長からねぎらいと励ましの電話があったそうです。松下幸之助さんは厳しい人ですが、人情味のある、人間の良い面、悪い面を良く理解された方です。 

  1. “1円玉の無限大

“1円玉の無限大”のお話も、“1円玉は無視されてもそれでおしまい。”“人間というものは無視されると怨念が残る。人間の心は、マイナス無限大からプラス無限大まで幅広く変化するんだ” という松下幸之助さんの考えは、塾長の人生成果=考え方×努力×熱意と同じものと考えられます。

素直な心、美しい心はプラス無限大、悲観的な心、閉ざした心はマイナス無限大になります。人間の心はマイナス無限大からプラス無限大まで宇宙の大きさを持っていると木野さんは語っています。

松下幸之助さんは “人間に光を当てる経営”をされてこられた素晴らしい経営者です。

盛和塾 読後感想文 第三十四号

思いやる心が信頼を勝ち取る 

経営者は、率先垂範して仕事を進める、従業員に模範を示すことが必要です。朝は一番に仕事場に出向き、夜は最後に戸締りをするようでなければなりません。私は朝6時に、テキサスの事務所と朝礼をし、ロス事務所へは朝7時に出社します。ロス事務所の従業員は8時半に出社してきます。出社してくる従業員が、 “おはようございます。”  “Good morning”  と挨拶してくれます。夜は私が最後に、退社するのが通常です。 

従業員との朝礼での話し合い、毎週木曜日の経営思想の勉強会、午前、午後それぞれ10分間の体操、木曜日の昼食会と、いろいろな機会をとらえて、コミュニケーションを図ろうと努力しています。従業員家族のことも時々、たずねるようにしています。しかし、従業員が経営者として尊敬し、信頼してくれているのか、私にはわかりません。こういう事でしか、従業員とのコミュニケーションを図る術を知りません。 

それから、仕事の内容についての話し合い、従業員の仕事のレビュー、会社の月次決算の報告会、付加価値生産性の分析等を通して、仕事上のコミュニケーションを図ることも大事だと考えています。

日々の仕事を進めるにあたって 

  1. 原価意識

全従業員に原価意識を持ってもらう様にする為には、各従業員毎の採算性を算出し、その理解をはかることが重要だと思います。私共では、付加価値が各個人個人でどうなっているのか、毎月検討するようにしています。私共のタイムシートでは、今日1日どれだけの収入をあげられたのか、各自分かるようにしています。印刷機で使う、横8 ½インチ、縦11インチの紙は1枚いくらかを知る必要があると思います。こういうことを従業員の間で話されるようにしたいと思います。 

  1. 倹約

会社が大きくなっても、会社が小さかった時に習得した倹約を忘れないようにしなければなりません。 

  1. 経営思想

日々採算意識を高めていく為、又、売上を最大に、経費を最小にする為には、経営思想を毎日、事あるごとに確認し合い、学習することが必要です。会社経営を発展させ、長きにわたり従業員を守り、社会に貢献するためには、立派な経営思想が必要不可欠だと思います。 

  1. 現場主義

知識と経験があって初めて出来る。現場に立ち戻り、何が問題かを探し出すことが、まず必要なことです。机上での理論や、お話しや、解説では、解決は出来ません。現場には宝がある、現場には問題を解くためのカギがある と塾長は述べています。続けて、それを、 “経験則を重視する” と結論付けておられます。基本は、問題がある現場に行き、その問題がどうして発生しているのかを知り、その本当の原因を捉え、解決方法を発見した上で、その解決方法を実行することです。その為には、現場にかかわっている従業員と一緒に考えることが必要なのです。 

  1. 手の切れるような製品

製品やサービスはそれを作った、提供した人の心が現れます。完全主義の原則を全員が意識して神経を集中して、作業に当たるようにするべきだ と塾長は述べています。お客様に真心をお届けするという事だと思います。 

人生の価値と目的 

我々の人生にとって、地位、名誉、お金は何の価値もない、一生懸命に努力を続けていけば、自ずから利益は生まれてきます。と塾長は教えてくれています。死ぬ時は、皆が裸一貫で死んでいくわけですから、地位、名誉、お金は何の価値もないと考えます。 

人生の価値は何なのかということを考えた時、自分自身の “心を高める” ということが、その価値だと述べられています。よくある話ですが、大成功を収めた人の、お金を沢山手にした人の、人間が狂ってしまったということがあります。それは “心を高める” ことを忘れてしまったからだと思います。 

お釈迦様の説かれた戒律  “六波羅蜜” 、布施(ふせ)、自戒(じかい)、精進(しょうじん)、忍辱(にんにく)、禅定(ぜんじょう)、この5つのことを実行し、智慧(ちえ)に辿り着くというものです。この “六波羅蜜” を毎日考えることにより、“心を高める”  “心を浄化する” ことが出来ると塾長は述べています。 

活動の原点は、正義と公正の追求 

中坊公平弁護士のお話は、本当に心に響き、涙が出てきました。“弱きを助け、強きをくじく仕事” を選ばれた中坊弁護士には脱帽です。こんなに単純に、純粋に思う人はまれです。中坊弁護士のお父さんが、農家の家族がリヤカーを夫婦で引き、おじいさんが鍬をかついで家路を行く姿に、“幸せとはこんなことを言うんや。親にとって自分と同じ職業に就いてくれるのが一番嬉しいんや。”  幸せは遠いところにあるのではなく、自分の足許にある。それを知らない人が多い。“自分は幸せだ” と思うことが一番幸せなことだと中坊弁護士は諭してくれています。 

“自分の心に価値判断の基準を持つ” ということを住宅金融債権管理機構の社長をしておられた時に、実行されておられます。価値判断の基準が自分の心の中にありますから、自分が納得できる仕事だけをしますと言っておられ、自分が納得した生き方をされています。

現場に徹して原因を深く考える

中坊弁護士は言う。“現場には神が宿る。” 現場さえきちんと見ておけば、その中にある本質を必ず見つけることができます。会社で資金繰りが悪い時には、何が本当の原因かを順繰りにたどって行き、メーカーとして最も根本的な作業が不十分だったことを突きとめたとあります。 

中坊弁護士のいわれる “現場” は、彼自身が現物を手に取るということ。人の話を聞くだけでなく、常に自分が現場に行って実際に現物を手に取ることから、原因追求のすべてが始まるということ。つまり五感を使って、現場を見る。その上で、さらに第六感で物事に対処しなければならない。そして正しく考える為には正確な物差しが必要で、それを “智恵” と言う。知識ではなく、道理が物差しとなって正しい答えが得られる。 

現場を知っていると、裁判官を説得する迫力が付く、又、相手に連想させることが出来る。 

1995年森永ヒ素ミルク事件の時、130人の赤ちゃんが亡くなりました。後遺症が長年続き、14年目に被害者の親達は森永と国を相手取って訴訟を起こした。その弁護団長を引き受けようか迷った中坊弁護士は自分の損得で判断して、弁護団長を引き受けまいと思っていましたが、父親の弁護士に相談したところ、“公平  お父ちゃんはお前をそんな情け無い子に育てた覚えはない。お前は小さい頃から、ほんまに人様の役に立ったことがなかったやないか。それがやっと人様のお役に立つ仕事に誘われて逡巡するとは、どういうことや。”  と一喝されたそうです。“公平、弁護士というのは弱気を助け強気をくじく仕事や。”  と言われた意味がやっとわかったような気がしたと述べています。

被害家族の方々の気持ちを理解する為に、中坊弁護士は70以上の被害家族にお会いし、時には泊めてもらい被害家族の方々に寄り添ったそうです。こんなことまでして、現場主義を徹底できる人はいないと思います。現場主義を通じて、被害家族の方々が何を望んでおられるかを見つけ、それを訴え続け、周りの人々を説得していかれたように思います。私は涙が出てきました。ひとの為に尽くすとはこういうことなんだと、心にしみました。 

一燈照隅。万燈照国。 

中坊弁護士は森永ヒ素ミルク事件を通じて、次のように言っておられます。“お上とか公というのは、国家ではありません。私は縦の公よりも、自分たちの身の回り、自分の会社、自分の家族、そして自分が住んだり働いている地域といったものを含めた横の公の方がずっと大事。一人ひとりが一つの隅を照らしていけば、その国が明るくなります。そんなことをしても世の中は変わらないと諦めずに、一人ひとりが自分の職場なり、家庭において、横の公を考えてみんなのために働く気持ちがあれば、日本は良くなる” と結論づけられておられます。

盛和塾 読後感想文 第三十三号

情熱が時代を開く 

世の中には燃えない人があります。新しい材料を見つけたり、新しい住宅のパンフレットを見せても調査もしないし、まったく興味を示さない人もおれば、自分でその材料の調査をしたり、新しい住宅のパンフレットを読み、その工法を研究する、燃える人もいます。 

私は “きづき” という題で毎週、その週に気付いたことを全従業員に配信しています。ところが、従業員からの反応がないのです。賛成意見、反対意見も聞こえてこないのです。 

新しい事業を立ち上げて、頑張ってくれる従業員を生み出していくのには、どうしなければならないのか、未だにもがいております。自分の熱い想いを、あらゆる機会を通して伝えていき、従業員が会社経営に参画出来る環境作りをしなければならないと思っています。私自身が、強烈な願望を抱いて目標を追い続けることが、又どうしても新しいプロジェクトを成し遂げるのだと、毎日自分自身を叱咤激励するべきだと思っています。 

値決めは経営である 

経営の原点12ヶ条 6. “値決めは経営” について塾長は、 “お客様が喜ぶ値段の一番高い点を瞬時に射止める。” と言われています。売値は基本的には市場によって、お客様の受け入れられる価格によって決まります。お客様が受け入れられる価格をどのようにして見つけるかがビジネスのスタートポイントだと思います。 

お客様が喜ぶ値段は、売上げ総利益が極大になる値段、すなわち、一つの商品の総利益×売上数量が極大になるということだと思います。値段を決定する要因は、マーケットの大きさやセグメント、商売する地域、時間帯、商品の運搬手段等、様々な点を考慮する必要があります。販売促進の方法や商品の特徴によっても、お客様が受け入れる価格は異なります。独創的な製品であれば、その製品価値に対してお客様の払ってくれる価格が正しい値段といえます。 

値段を決定するのには、目標利益、材料費の削減度、新材料の使用、製造工程の改善を通じての製造原価の削減等、経営全般を考慮して決定する必要があります。従って塾長は、 “値決めは経営トップの仕事” と言われているのです。 

製造業においては、“新しい技術開発を行うのが技術屋の仕事と思いがちだが、そうではなく、どうやって生産コストを下げるかを考えることこそ技術屋の仕事なのだ。” と塾長は考えています。 

売上を最大限に、経費は最小限に 

経営の原点12ヶ条 5. “売上を最大限に、経費は最小限に” について塾長は、“入るを量って出ずるを制する。” と述べられています。私は、こうした努力を毎日続けていくことが最も困難ですが、挑戦していくつもりでいます。 

“売上を極大にし、経費を極小に” ということは付加価値の向上と同じだと思います。従って、京セラでは全従業員が理解し易いような方式―アメーバ経営を導入し、全員経営参加のシステムが必要だった。一時間当たりの付加価値を全従業員に公開することにより、従業員が経営に参画することが可能になったと思います。 

常識にとらわれず高収益を目指す為には、販売管理費を抑える手法がある。 

売上を最大にする為には、必死に営業努力をすることが、重要だと思います。その為には、外部の人々に会うことや、今あるお客様とのコミュニケーションを密にし、どういう要望があるかを知る必要があると思います。 

経費を極小にするには、経費を細分化して、各担当部署が、経費削減する為の情報を適宜提出する必要があると思います。 

日々採算をつくるということは、経営のかじ取りを毎日することだ、と思います。何が現場で起きているのか把握してく必要があります。改善点があれば、直ちに行動に移すことが重要です。 

利益を出すための経営のやり方、健全資産の原則、当座買いの原則は、私共でも直ちに実行に移すことが出来ます。 

売上を伸ばしていく為には、能力を未来進行形で考え、より高い目標を目指していくことが、必要だと思います。自分の能力を信じる従業員集団を作ることが、経営者の仕事だと思います。又、目標を従業員と絶えず共有し、確認しあう努力が重要だと思います。