盛和塾 読後感想文 第四十六号

情けは人の為ならず 

因果応報の法則について 

  1. 運命と因果応報の法則 

私たちの人生のいろいろな出来事は、自分の意志や遺伝子の力が及ばない領域があります。運命ということです。 

以前の読後感想分でもふれましたが、因果応報の法則-善根は善果を生み、悪根は悪果を生むという法則が私たちの人生に大きな影響を及ぼすと塾長は繰り返し述べています。思ったこと、行動したことが原因となって結果が生じるということです。運命と因果応報の原則が同時並行的に私たちの人生を作り上げています。 

中国の古典 “陰隲録” という本に書かれている “袁了凡” が禅宗の雲谷禅師に教わり、自分の人生を変えて行った話、袁了凡が息子に言います。 “なあ息子よ。人生とは善きことを重ねることで変えられるものなのだよ。”  因果応報の法則を実践していくことにより、自分の運命に大きな影響を及ぼし。運命を変える(立命)ことが出来ることを自分の実体験を通して、袁了凡は私たちに教えています。 

  1. 京セラ三田の再建 

三田工業という複写機メーカーが1998年に倒産し、京セラの傘下に入り、再建されました。京セラミタと社名を変更し、京セラから社長を派遣し、7年、前倒しして 400億円の負債を完済したそうです。 

  1. サイバーネット工業の再建 

22年前に再建を引き受けた時、再建を引き受けて間もなく、とんでもないものを背負ってしまいました。サイバーネット工業には過激な新左翼系の労働組合があり、組合活動家が会社以外の件で仕事をしない、京セラの誹謗中傷をする。稲盛和夫を悪徳経営者と呼ぶ等こうした非難を数年にわたり、京セラはじっと耐えたそうです。 

京セラミタの再建をした社長はサイバーネット工業で工場長をされた方だったそうです。サイバーネットの人が京セラミタを救ったのです。サイバーネット工業を救済する善きことをしたにもかかわらず、大変な苦労を強いられました。しかし愚痴をこぼさずに、サイバーネット工業の再建に努めてきたのでした。その結果、三田工業再建の先兵になったのがサイバーネット工業にいた工場長だったわけです。 

このように善きことを思い、善き行いをすれば、善き結果が生まれますと塾長は語っています。 

情けは人の為ならず 情けを他の人に賭けるのは自分の為なのだということを教えられました。

難しいことをこのように解りやすく説明することが出来る人は少ないと思います。

盛和塾 読後感想文 第四十五号

綺麗な心で願望を描く 

塾長は語っています。強い願望であっても私利私欲に基づいた動機であったり、又、世の道理に反する動機の場合は、一時的に成功するかもしれないが、結局、社会との摩擦を生み、社会に受け入れられなくなり、失敗につながっていきます。 

成功を持続させる為には、次の2点が大事であります。

 1. 動機が清いこと
 2. 強い持続した願望を持ち、ひたすら努力すること 

ひたすら努力するには、目標に向かう仕事が趣味の領域にまで達し、どれだけ仕事をしても、楽しく疲れない様にならねばならないと思います。 

人生のありようと目的について 

塾長は難しい哲学や考え方について、我々がどういう風に語れば理解してもらえるかを常に考えておられます。 

“私はいつも、どういう風に話せば簡潔に分かり易くなるのか、どういう風に話せば皆さんがそれを胸に留めて、日常生活の中で実行してもらえるようになるのだろうかと考えている。” 

“皆さんにお話をした後に考えてみては 「いや、ああいうまとめ方ではダメだな。」と思い、もう一度試みる。” 

塾長は我々に対する講演の方法には、“相手を想う心。” それから、“自分の目的は、相手に理解してもらい、それを実行してほしいという事。” を意識して常にお話しされています。 

これは、“相手の人が自分の説明を理解していないのは、自分がよく解っていない証拠、相手が解るレベルまで説明できるように努力をする必要がある。” という考え方だと思います。 

この考え方は、従業員に話す時によく出会うケースです。従業員が理解しないのは自分の説明不足で、従業員が日常働いている現場に自分が精通していない時に発生すると思います。 

  1. 運命について 

どういう人生を送っていくのか。運命は、それぞれの人に定まっています。運命は、個人に限らず、日本という国、宇宙や世界にも定まっているそうです。地球レベルでの大きな運命のうねり、日本という国の運命のうねり、個人の運命もこうした大きなうねりの中で、上がり下がりしています。こうしたうねりから、個人の運命というものが定まっていると言われています。 

  1. 人生の横軸-因果応報 

運命は人生を貫いていく縦軸として存在します。横軸には “因果応報” という法則があります。善根は善果を生み、悪根は悪果を生むという、因果応報の法則が横軸としてあるそうです。 

善因・悪因とは、生きている間に自分が思ったこと、または自分が行ったこと、その全ての行為が因、 “思念” が原因を作ってしまうそうです。“原因”は必ず “結果” を生みます。 

  1. 因果応報の法則は、必ずしもすぐにその通りの結果が出ないのが通常のよう 

因果応報の結果が出るのに時間がかかるということが一つの原因です。また、運命のうねりの中で良い時期には悪果が相殺されたり、悪い時期には善果が相殺されてしまうことがあるというのがもう一つの原因だそうです。 

  1. 運命は因果応報によって変えられる 

塾長は語っています。“因果応報の法則には運命を変える力がある。生まれた時の運命の通りの人生にはならない。” 

因果応報の法則を信じたとした場合、この法則に従い自分の運命を良い方向に変えることができます。良い事に出合うとも、悪い事に出遭うとも、出合った運命に感謝をする心で対応するように努めるのです。 

災難、苦難等の悪い事に遭遇した場合には、嘆かず、腐らず、恨まず、愚痴をこぼさず、こうした試練は自分を鍛える為、又、成長させる為に与えられたチャンスであると考え、ただひたすら前向きに明るく考え、又、行動する “善因” を作る努力をします。逆に、幸運に恵まれた時には、感謝の心と、驕ることなく常に謙虚な気持ちを持つことで “善因” を作るようにすることにより、自分の運命を良い方に変えることが出来ると塾長は述べています。 

“善因” を絶えず作るように努力することが我々の人生に一番大事な事なのです。

盛和塾 読後感想文 第四十四号

もうダメだという時が仕事の始まり 

稲盛塾長は塾長理念として次のように述べています。物事を成し遂げていくもとは、才能や能力というより、その人の持っている熱意や情熱、さらに執念です。 “もうダメだという時が、本当の仕事の始まり。” だそうです。 

人は出来ないことの理由をあげて自分自身を慰め、失敗することに対して自分自身を納得させようとします。お金がない、人材がいなかった、不況だった、競争が激しかった等、ほとんどの場合は、そういう言い訳をします。良い環境が逆に仕事をやり遂げる事を妨げていることに気が付かないのです。ありすぎる為に人間は努力をしないのです。 

“素晴らしい仕事には、燃えるような熱意、情熱を持って最後まであきらめずに粘り抜くことが必要。” と塾長は述べています。 

リーダーの在り方について 

1. リーダーシップの重要性 

国際戦略研究所(CSIS)のデービッド・M・アブシャイアさんが、“リーダーシップ、創造性、価値観” という題でシンポジウムを開催されたそうです。その際、彼、“ジョージ・ワシントンが初代大統領になった最大の理由は、ワシントンが素晴らしい人格者だったからだ。” と強調されたそうです。イギリスから独立したアメリカ合衆国が素晴らしい国家を形成できたのは、ワシントンが素晴らしい人格者であり、国をまとめることが出来たからで、リーダーとして一番大事なことは、その人が持つ人格であるという事をアブシャイアさんは言われたと塾長は述べています。 

塾長はスピーチの中で “人格はつくられると同時に、時と共に変わるもの。変わらないような強固な人格を形成した人をリーダーに選ばなければならない。” と述べています。強固な変わらない人格を形成した例として、二宮尊徳の功績を塾長はあげています。 

2. リーダーはいかにあるべきか 

リーダーは人格で決まると言われますが、組織を引っ張っていくときには、卓越した戦略、戦術が不可欠だと塾長は述べています。その為には、“こうでなければならない、こうありたい。” という確固たる信念(見識(けんしき)というそうです)が必要です。それと同時にリーダーには、統率力が求められます。 組織を率いていくには、勇気、豪気、決断力、実行力が備わっていなければなりません。(胆識(たんしき)というそうです)いくらこうでなければならないという信念を伴った見識を持っていても、それを実行できる胆力が備わっていなければ、実現は出来ません。 

私は昔のことわざ “言うは易く行うは難し。” と毎日のように思います。 

リーダーが集団を引っ張っていく為には、ビジョン、目標を掲げることです。そして、その使命を明確にすることが必要です。目標を達成するという事の意味、すなわちそれはどういう使命を果たすことなのかを、組織のメンバーに解りやすく説得することが出来なければなりません。 

3. リーダーが持つべき 考え方

 a. 人間として何が正しいか

リーダーの基本的な判断基準とは “人間としてやっていい事、悪い事。” “人間として何が正しいのか。” であり、塾長はこれを実践、実体験の中から考えられ、この判断基準を貫き通したと言われています。

 b. 人生方程式を考え付く 

実践の中で人生方程式(人生の結果、仕事の結果=考え方×熱意×能力)を考えられました。人生の結果、仕事の結果はその人の持つ能力、熱意と、その人がどういう “考え方” で人生を歩んできたかによって決まります。 

リーダーは戦略、戦術を考える為の知識が必要です。その為には、頭の良さ、健康でタフな仕事をこなせる能力が必要です。 

リーダーは知識を得る為、戦略、戦術を磨く為に人一倍の努力、目標達成に向けての努力=熱意が不可欠なのです。 

この能力熱意は0点から100点まであります。例えば頭の良い優秀な大学を出た人は90点の能力があり、たいして頭の良くない人は50点の能力があるとします。しかし、頭の良い人はうぬぼれの為、努力を怠り30点、その一方で頭のさほど良くない人は、自分がそんなに頭が良くない事を知っていますから、努力をし、熱意は90点。能力と熱意の点数を掛け算しますと、頭の良い人は2700点、頭のさほど良くない人は4500点となります。このように、能力がさほどない人でも努力をすれば、能力のある人以上に素晴らしい結果をもたらすことが出来ます。 

次に考え方という要素が加わります。考え方にはマイナスとプラスがあります。わずかな否定的な考え方であっても、その人の人生結果がマイナスになってしまうのです。 

能力もあり、熱意もある人が否定的な悪い考え方をしますと、その人の人生結果に致命的なマイナスになり、その人は人生の敗北者になることがあります。“人間の考え方、人間性、人格、その人が持っている思想、哲学というものが人生にとって最も重要な要素である。”

と塾長は語っています。  

c. どの山に登るか 

組織のリーダーは各自異なった目標を設定します。どの山に登るかによって準備する装備が違うがごとく、どういう人生、経営を目指すかによって、その人が持つ“考え方”のレベルも違います。 

“険しい山に登ろうと思えば、落伍する人がいるかもしれません。それでも目指す山に登ろうと思うなら、それに見合う厳しいトレーニングや周到な準備をしなければなりません。その為、社員にも会社の高い目標に見合うだけの考え方、哲学を持つように要求しなければならない。” と塾長は言っています。 

d. 高い目標とそれに見合うプロセス 

京セラは創業時から “世界一” を目指すと公言し、従業員に繰り返し説き続けてきたと言われています。説き続けるだけではなく、“京セラフィロソフィ” を作り、アメーバ経営のシステムを作り、目標達成のプロセスを実行してきました。こうした高い目標を達成する為には、辛酸をなめ、苦難の道を歩くというような生き方、生き様がどうしても京セラには必要だったのです。 

面白おかしく人生を生き、また、面白おかしく経営をしたい人が目指している会社とは、京セラが目指したものとは異なっていたのです。 

e. リーダーの考え方が組織の運命を決める 

成功を収めると傲慢になり、名誉欲にとらわれ、謙虚さを失うリーダーをよく見かけます。中国の古典に “ただ謙のみ福を受く。” ということわざがあるそうです。謙虚でなければ幸せは得られないという意味です。謙虚さを失った為に、会社が倒産した例は枚挙にいとまがありません。人間はどんな考え方をしようと、その結果を自分自身で負う限り自由です。しかし、組織のリーダーの場合、その結果は自分ひとりだけではなく、企業が倒産すれば従業員、その家族、顧客、取引先にも類が及びます。集団を率いるリーダーというのは、どんな考え方をしても自由、ではないと思います。集団を幸せにしていく為には、リーダーは立派な考え方を持つことが義務だと塾長は言っています。リーダーは自分が成功しても謙虚さを失わず、幸せになったことに感謝しなければならなりません。その幸せを他の人と共に分けてあげる “利他の心” を持ち続けることが大切です。 

4. 心を高め続ける 
a. 六波羅蜜 

お釈迦様が悟りを開かれた方法として “六波羅蜜” という修行を説いておられます。

布施-他人のために尽くす “利他の心”

持戒-足るを知る、煩悩、欲望を抑える

精進-一生懸命努力をする

忍辱-耐え忍ぶ

禅定-心を静かにする

智慧-悟りを開く

b.  精進 

私が一番大事にしていることは、精神です。“働くことは生活の糧を得る為である。” と教わったと思いますが、それだけではなく、社会と関わり、人を知り、働くことを通じて自分の人格を磨くことも大切なことです。“艱難汝を玉にす。” という言葉があるように、苦労があって初めて人間が磨かれていくと思います。 

c. 普遍的な経営哲学 

グローバルな経営や海外で事業経営に携わっている経営者は、国際的にも通用する普遍的な経営哲学を持つことが大切だと思います。

盛和塾 読後感想文 第四十三号

人生について 

  • 1. 人生を形作る 運命 因果応報の法則 

人はそれぞれ “運命” というものを持って生まれてきていると思っています。運命には個人、家族、社会、国、地球の運命と、色々な運命があるように思います。自分がどんな人生を辿って行くのか、誰もが興味を持っていると思います。色々なことに遭遇して、我々の人生が作られているわけです。 

人によっては運命を信じない方々もおられます。又、信じる方々もおられます。

しかし、人は誰しも自分が将来どうなっていくのか知りたいと思うのです。運命、人生の出来事は解らないですが、けれど、我々はそれなりに自分で努力して良い人生を送りたいと日々生活しています。どういう努力をしたらいいのか、どうしたら自分が納得できる人生を歩めるのか、皆考えていると思います。 

仏様の教えの中に、“因果応報の法則” というものがあると説かれているそうです。それは “善い事を思い、善い事をすれば、善い結果が生まれるし、悪い事を思い、悪い事を行えば、悪い結果が生まれる。” という単純明快な因果応報の法則というものがあるそうです。 

人生は “運命” と “因果応報の法則” により形作られていると塾長は結論付けておられます。自分に、運命という定められたものがあるかどうかは判らないですが、人助けをしたりして、人から “ありがとうございました。” と言ってもらえると、“あっ、気持ちがいい。ありがたい。” と誰しも思います。そうすることによって社会に認められ、“人生意気に感ず。” と思えれば、自分の人生は良いと思うに違いありません。 

  • 2. 運命を変える因果応報の法則 

人は、“自分は運命によってコントロールされており、自分の運命は決まっている。”と思う方もおられます。 

中国の役人、袁了凡(えんりょうぼん)という人が書かれた本  “陰隲録(いんしつろく)” の中で彼は、ある老人に、“あなたは科挙の試験に合格し、最後に地方長官に任ぜられ、53歳で死にます。” と言われ、その通りの人生を歩んできたと言っています。袁了凡さんは、老人の言葉を信じていたそうです。 

ある日、禅寺で座禅を組んだ機、老師に会い、 “人生は運命によって決められているだけではなく、人に対して、社会に対して善き事をすれば、運命も変えられる。” ということを学んだ、 と陰隲録にあります。袁了凡は、善行を続け73歳まで生きたそうです。運命は変えることが出来る。これを立命と言う、と袁了凡は述べています。 

  • 3. 因果応報の法則の正しさ 

因果応報の法則は、“善い事を思い、善い事をすれば、善い結果が生まれ、悪い事を思い、悪い事をすれば、悪い結果が生まれる。” ということですが、実際には必ずしもそうはならないことがあります。それは運命的に悪い時期に善い事を思い、善い事をしても善い結果は生まれて来ない。逆に運命的に良い時期に悪い事を思い、悪い事をしても悪い結果が生まれて来ない。こうなりますと、因果応報の法則は間違っていると思われるかもしれません。それには2つの理由があります。 

一つは、運命には良い時期と悪い時期があり、因果応報の法則が表面に現れないことがあるという事。二つ目は、善い事を思い、善い事を行っても善い結果が出るのに時間がかかることがあり、悪い事を思い、悪い事をしても、悪い結果はすぐに生まれず、後手に生まれることがあるという事。 

長い目で見ると、因果応報の法則は結果が合うようになっていると言われています。30年40年という長い時間で見ると、辻褄が合っているそうです。 

  • 4. 人生にいかに対処するか 

運命と因果応報の法則により、我々の人生が左右されるとすると、人生の波乱万丈をどう乗り越えていくか、誰もが考えると思います。 

災難に遭った時は、自分に与えられた試練だと考え、前向きに対処していき、災難を与えてくれた自然に、神様に感謝します。良い目にあった時には、その事に感謝し驕り高ぶらず、自分の幸運を周囲の人々にも分かち合う謙虚な心で過ごすことが大切です。 

  • 5. 人生の目的は 心を高めることにある 

我々経営者は立派な事業経営をして、従業員、株主、取引先を幸せにし、事業を成功させて自分も素晴らしい人生を生きようとしています。事業を立派にしていけば、従業員の物心両面での幸せを満たすことが出来、社会にも貢献することが出来ます。この目的の為、因果応報の法則に基づき、善い事を思い、善い事を行う。すなわち、“心を高める” ことが必要だと思います。心を高めるとは、我々の魂を磨くことです。

人生の目的は、善き事を思い、善き事をなし、魂を日々磨き続けることだと塾長は述べています。

 

不況をいかに乗り切るか 

不況に強い高収益経営 

本当の不況対策とは、不況になってからではなく、好況の時から不況に備える経営を行っておくこと。つまり、高収益こそ不況に対しての本当の対策、備えなのです。税引前利益最低10%を確保すべきと塾長は述べています。 

  • 1. 全員参加による営業力の強化 

営業人の強化の為、受注減で暇になった製造部門から応援部隊を結成し、営業部隊に派遣します。顧客の生の声により新製品を開発し、新しい顧客を増やし、新しいマーケットを開拓する、“全員セールス” により、積極的な受注拡大、販売の促進を図ります。 

  • 2. 新製品開発に全力を尽くす

不況になり、暇になった時にこそ、新製品開発に全力を挙げる絶好の機会です。

製造部門が新しい客先を求めて営業にまわり、そこで得られた新製品に対するニーズ、新しい客先のニーズを聞き、それを基に新製品開発をします。“不況の時こそ、技術陣、営業、製造、マーケティングも協力して、全社一丸となって新製品の開発に努めます。

 

  • 3. 原価を徹底的に引き下げる 

原材料、副資材、外注加工費のすべての仕入れ価格を引き下げます。その為に 新しい素材を見つけます。細費は細分化して削減する方法を考えます。製造工程の合理化を考えます。全社の組織を見直し、不要な組織は無くし、他の組織と統合します。 

  • 4. 生産性を落とさない 

不況により工場の稼働率が下がります。余った人材はほかの仕事に廻し、一人当たりの生産性を落とさないようにします。製造の仕事が半分になれば人員も半分にします。 

  • 5. 不況時の人間関係 

不況時にはよく、レイオフすることがあります。もしできるならばレイオフをせず、全員の雇用を確保する為、労働組合と充分話し合い、一年間、又は、一定期間の給与の昇給を見送り、あるいは賃金の一律カット、ボーナスカット等を考えます。不況になりますと、人間関係にひびが入るようなことが色々な分野で発生します。好況の時から会社は、従業員同士が助け合い、コミュニケーションを積極的に促進出来るように努めることが必要です。 

業績が回復した機には、昇給見送り、賃金一律カット、ボーナスカットは支払うよう、従業員の苦労に報いる必要があります。 

  • 6. 不況をバネに飛躍する 

不況時には機械、設備、不動産等の値下がりが起きます。又、建設工事代も下がります。こうした機に、設備投資を計り、次期の景気拡大に備えます。不況時にこそ企業格差が大きくなるのです。

盛和塾 読後感想文 第四十二号

  1. 人生に働く二つの法則

 人生を支配する二つの要素 -運命と因果応報 

我々の人生には “運命” というものが定まっていると塾長は延ベています。我々が歩んできた人生の中では病気になったり、交通事故に遭ったりある人と結婚する等いろいろな偶然と思われることが起きます。生まれてから死ぬまでに起こることは運命によって決められているそうです。我々は運命を予測することは出来ません。 

ところが、その人の “思い” と “行為” によって人生が変化を遂げていくのも事実です。いわゆる、 “因果応報の法則” が存在するのです。因果応報の法則が “運命” に作用し、人生を変えてしまいます。因果応報の法則はすぐに結果は出ません。善きことを為し、善きことを思ったからと言って、いい結果が出るとは限りません。時が経過して結果が表れることがあります。又、我々の目から見たところ、良い結果は悪い結果と判断しても、天から見た場合、長い目で見た場合は我々の判断とは異なることがあるのです。

災難は天が与える素晴らしい贈り物 

我々が若い頃遭った苦労、不幸は決して人生にマイナスではなく、あとの幸福を生み出す試練である。人生で成功した、尊敬される人々は、若い頃大変な苦難に直面し、その苦難から学んだという話がよくあります。苦難に遭ったからと言って、人生に成功するわけではありません。苦難を真正面に受け取り、逆境を乗り換え、逆境を自分に与えられた天からの試練と捉えて、努力する人だけが人生に成功すると思います。

苦労が魂を磨き、努力が人を練りあげる

創業者の方々の中には、お金もない、技術もない、教育もないにも関わらず、唯一心に働くことにより、周囲の人々から尊敬され、立派な指導者になられた方が多くおられます。勤労を通じて、心を磨き、人間性を高めてこられた方々だと思います。 

幸運に恵まれた時と災難に遭遇した時の心構え

塾長は延べています、 “幸運に恵まれたときに有頂天にならず、驕り高ぶらない自分自身を戒めていくことです。”  “災難に遭遇した時は、嘆かず、恨まず、愚痴らず、その災難を真正面から受け止め、前向きに明るく努力し続けることです。”

こうした姿勢を保つ為には日頃から心を高め、人格を研く努力が必要です。塾長の教え経営の原点12ヶ条(添付)、6つの精進を毎日唱和し、従業員、お客様、仕入れ先の方々と共有していくこと、機会ある毎に自分に言い聞かせることが私にとってはすべてだと思います。また毎日の仕事の中でこれらの経営哲学を、どう実践したか、反省することが私には必要となっています。

 

  1. 人間としての金メダルを目指したい  東海大学体育学部教授  山下泰裕 

オリンピック金メダリスト、東海大学体育学部  山下泰裕教授は、自分自身がきわめた道を更に将来に向かって努力をしていかれるという強烈な決意とその決意に至った経験を述べておられます。 

人生を導いてくれた二人の恩師 

中学生時代、熊本市立藤岡中学校で柔道部の監督をしておられた白石礼介先生。“全国制覇を目指して、みんなが一生懸命に頑張る。これはすごく価値のあることだ。しかし単にチャンピオンになるよりも、もっともっと大事なことがある。それはこうして勝利を目指して頑張ったことを、社会に出てから生かせる人間になることだ。柔道のチャンピオンになることも素晴らしい。だけどもっと素晴らしいこと、価値のあること、大切なことは、社会に出て役に立つ人間になること、社会に出て活躍できる人間になることだ。人生のチャンピオンになれる様に頑張りなさい。こういう話を繰り返し、繰り返し聞かされた,と山下教授は述べている。 

東海大付属相模高校の機、東海大学柔道部監督、佐藤宣践先生。 先生のお宅に下宿させていただきながら、 “学んだことは言葉ではなく先生の後ろ姿や行動からも多く学んだ” とあります。”  人生を通して学び続けることの大切さです。誰の話にでも素直に耳を傾け、良いと思ったことは実行に移す。”

この二人の恩師を見て、山下教授も “将来は指導者になりたい教育者になりたい。” と思ったとあります。この二人の恩師は次世代の日本の柔道指導者を率先水範して、育てたと思います。後継者育成の基本だと思います。 

優れたところに光を当てると、人は輝く 

柔道選手を育てる時に、柔道部4年生のB君というやる気の乏しい生徒がいた。迷惑だから、早く退部してほしいと思っていた。 

ある時、白血病の子供を助けるための輸血確保の依頼を受けました。手術も成功し、子供も退院して、皆が喜んでいました。その子供の母親が御礼に山下教授を訪ねて、涙ながらに、語った。 “B君は入院中の子供の見舞いに何度も来て、子供を元気づけてくれました。バスを何回も乗り換えて来てくれて、ありがとうございます。” 

山下教授ははっと気が付いた。B君を一面だけから判断して、B君の人格までも低く見ていたことに反省された。 “私は学生の一面だけを見て決めつけ評価していたのです。柔道部にいる時の姿だけを見て、この人間はやる気のないダメな奴だと決めつけていたわけです。まだ未熟な学生たち、若者たちを見ていくときは、一面だけを見て評価してはならない。全体的に、多面的に見ていかなければならないということを彼を通して学ばされたのです。” “我々一人ひとりには誰にでも必ず素晴らしいところがあり、また必ず足りないところ、未熟なところがあります。素晴らしいところに目を向け、光を当ててやることによって彼らは輝き始めるのです。”

私もこのような間違いを過去に何度もして来ました。従業員の素晴らしいところを見つける努力が必要だと思います。その為には日頃から自分自身、心を高める努力、自分の心眼を研くことが必須条件だと思います。 

夢とロマンを持ち続ける 

山下教授は言います。 “いくつになっても前を向き過去を語るよりも今とこれからのことを夢とロマンを語る人間でありたい、そういう生き方をしたいを思っています。” 

私も同感です。周囲には沢山興味のある,夢のあることが多くあります。どれを事業としてやるのか、迷うことがしょっちゅうです。お客様の経営上のお話を伺うと、アイディアがどんどん出てきて、私の仕事は、面白く楽しいことが多い様に思います。

盛和塾 読後感想文 第四十一号

日本人の経営はは国境を越えられるか。 

  1. 欧米と日本の経営 

塾長は日本の文化と欧米の文化の違いに起因して、日本企業が海外で成功することが困難となっていると述べられています。 

欧米の人々は海外での経営が日本人よりはるかに豊富です。例えば、イギリス連邦内には50ヶ国以上の国があります。公用語は英語です。自動車のハンドルは日本と同じ左です。欧米人は400年以上にわたって海外との交流があり、国境を越えて経営をしてきました。日本はそうしたグローバルな経営を経験した企業がないと思います。 

トップダウン方式と合議制、実力主義と年功序列、トップと従業員との給与格差、契約社会と信用社会、明確な意思表示とあいまいな意思表示、マニュアル化する欧米と、自分で考える日本、と塾長はキーポイントを述べておられます。 

  1. 日本人が持つ精神性 

日本人の精神性は自然と調和した暮らし、真心を大切にする人間関係を大切にしてきました。契約がなくとも信用、信頼、誠実、善意、謙虚を基調にして、日本人は長らく、生活してきました。欧米は侵略と略奪の歴史を繰り返してきました。従って、自己主張、悪意に対する対処等、日本とは異なる環境を長年経験してきました。 

“情けは人のためならず。” 相手に良かれと願う行為は、相手だけではなく自分の心を高め、自分にとっても良きことが帰ってくるのだと思う日本人。“思いやり” は必ず自分に戻ってくるというものだと塾長はも述ベています。これが日本人の精神性です。 

  1. 京セラクループ統括会社社長、ロドニー・ランソン 

ロドニー・ランソン社長の社内報での意見には学ぶべき点が多いと思いました。ここに引用させていただきます。 

「国家や民族によって、文化に違いがあります。しかし、ビジネスをやっていくうえでの哲学や人生を生きていくうえでの基本原則は結局同じものです。例えば、仕事で成果を出すように努力すること、また社会のために善きことをしたいと考えること、崇高な宇宙の摂理を信ずること。それらはどの文化であっても、どの宗教であっても真理てあり、普遍的であるはずです。 

文化の違いにより、様々な障壁はあります。たまにはフラストレーションもあります。しかし、それを乗り越える中で、ひとつの絆に気づくはずです。私自身はキリスト教徒ですが、宗教の違いを超えた精神的なレベルにおいては、京セラグループの中にあってまったく矛盾がないのです。次元の高い哲学、理念、理想と、いうものを共有すると、障壁は必ず乗り越えられるのです。」 

日本人が持つ精神性と素晴らしい倫理観を前面に打ち出して経営していく方がよいのではないかと塾長は言われています。

盛和塾 読後感想文 第四十号

富国有徳

1. 日本国の衰退

明治維新、日露戦争勝利、第二次世界大戦敗北、バブル経済崩壊と日本は40年周期で繰り返す盛衰を経験してきた。第二次大戦以前は富国強兵政策が日本国の国家方針でした。第二次世界大戦敗北後は日本は富国政策で日本国の国家方針を突き進んできました。

1985年、膨大な貿易黒字の日本に対して諸外国から批判が高まり、“プラザ合意”が締結されました。諸外国からの内需喚起要請を無視し続けた日本はバブル経済に突入し、そのバブル経済がはじけて、未だに日本は立ち直れていません。世界が日本国の方針、“富国” 政策を拒否しているのです。新しい日本国の方針が必要となってきました。一国のみの経済成長至上主義は国際社会が受け入れなくなってきました。国際社会がグローバル化し続け、お互いに強く結び付けあうようになってきました。日本国が豊かになるためには世界の国々と共生していく事が、必要と考えられるようになってきています。世界の国々と強調し、世界の平和と繁栄の一端を担っていくことが日本国の進むべき道、と塾長は述べています。

2. 自然界に見る循環の法則

自然界には齢を重ね、巨木になりすぎたものが朽ち果てることによって、新しい命を芽生えさせていく。生命が循環しながら生存していく “循環の法則” がある。

“食物連鎖” もある。ある植物が繁茂します。その植物を草食動物が食べ、草食動物を肉食動物が食べる。肉食動物の糞や屍は土にかえり、植物を育てる。我々人間も同じ “食物連鎖”の中にいると言えます。 

ところが人間には知性がある為、この“循環の法則”の外で生きる術を見つけてしまった。人間がしたい放題をしますとこの“循環の法則”を破壊することになります。人間が今後共、生き延びて行く為には、知性によって、自己をコントロールすることが必要となってきました。そうでなければ、この “循環の法則” を破壊して、自滅することになります。人間は知性に基づく良識を持って自らの欲望をコントロールし、破滅を阻止し、現在の繁栄と平和を持続する努力が必要となってきました。 

3. 富国有徳 

日本国が執ってきた経済の量的拡大ではなく、経済の質を発展させることに力を注ぐことが目標とされるべきと考えられます。他の諸国との平和と共存のもと、精神的にも経済的にも豊かな日本を目指すべきと考えられます。他の国に “善きこと” をなすことにより諸外国から尊敬される国になるべきだと思います。 

“善きこと” を国際的に実行していく為には、国際社会の政治の世界の変革、社会構造の変革などが、必要と同時に、民間人の一員として、経営者として何をなすべきか、実行していくかを考えるべきだと思います。 

塾長の稲盛財団の主催する “京都賞” はまさに国際的に “富国有徳” の実践 (徳をもって他国に “善きこと” を為す)と、改めて見習うべきだと強く思います。