盛和塾 読後感想文 第四十号

富国有徳

1. 日本国の衰退

明治維新、日露戦争勝利、第二次世界大戦敗北、バブル経済崩壊と日本は40年周期で繰り返す盛衰を経験してきた。第二次大戦以前は富国強兵政策が日本国の国家方針でした。第二次世界大戦敗北後は日本は富国政策で日本国の国家方針を突き進んできました。

1985年、膨大な貿易黒字の日本に対して諸外国から批判が高まり、“プラザ合意”が締結されました。諸外国からの内需喚起要請を無視し続けた日本はバブル経済に突入し、そのバブル経済がはじけて、未だに日本は立ち直れていません。世界が日本国の方針、“富国” 政策を拒否しているのです。新しい日本国の方針が必要となってきました。一国のみの経済成長至上主義は国際社会が受け入れなくなってきました。国際社会がグローバル化し続け、お互いに強く結び付けあうようになってきました。日本国が豊かになるためには世界の国々と共生していく事が、必要と考えられるようになってきています。世界の国々と強調し、世界の平和と繁栄の一端を担っていくことが日本国の進むべき道、と塾長は述べています。

2. 自然界に見る循環の法則

自然界には齢を重ね、巨木になりすぎたものが朽ち果てることによって、新しい命を芽生えさせていく。生命が循環しながら生存していく “循環の法則” がある。

“食物連鎖” もある。ある植物が繁茂します。その植物を草食動物が食べ、草食動物を肉食動物が食べる。肉食動物の糞や屍は土にかえり、植物を育てる。我々人間も同じ “食物連鎖”の中にいると言えます。 

ところが人間には知性がある為、この“循環の法則”の外で生きる術を見つけてしまった。人間がしたい放題をしますとこの“循環の法則”を破壊することになります。人間が今後共、生き延びて行く為には、知性によって、自己をコントロールすることが必要となってきました。そうでなければ、この “循環の法則” を破壊して、自滅することになります。人間は知性に基づく良識を持って自らの欲望をコントロールし、破滅を阻止し、現在の繁栄と平和を持続する努力が必要となってきました。 

3. 富国有徳 

日本国が執ってきた経済の量的拡大ではなく、経済の質を発展させることに力を注ぐことが目標とされるべきと考えられます。他の諸国との平和と共存のもと、精神的にも経済的にも豊かな日本を目指すべきと考えられます。他の国に “善きこと” をなすことにより諸外国から尊敬される国になるべきだと思います。 

“善きこと” を国際的に実行していく為には、国際社会の政治の世界の変革、社会構造の変革などが、必要と同時に、民間人の一員として、経営者として何をなすべきか、実行していくかを考えるべきだと思います。 

塾長の稲盛財団の主催する “京都賞” はまさに国際的に “富国有徳” の実践 (徳をもって他国に “善きこと” を為す)と、改めて見習うべきだと強く思います。