盛和塾 読後感想文 第二十五号

心で人を育てる経営を実践した、オートガラス()代表取締役大畑憲社長 

塾長のお教えに元気づけられて、“利を仕入れにあり。” と悟されました。一店舗ごとの採算で損益計算のできる管理会計システムを構築すること。人材育成の重要性を教えられたとありました。 

しかし、大畑社長のユニークさは、“人育ての基本は思いやりと心の問題” と考え、 “きつい” “汚い”  “危険” いわゆる3Kの仕事であるオートガラスの交換の商売を、何と落ちこぼれを拾い、育てて、やっておられることです。会社を転々として、悪いのは人のせい、世間のせいという子、先生を殴って退学になった子、番長をしていた子、暴走族上がりの子、世間では受け入れられなかった子達を見事に育てあげたとあります。採用基準は、ダメな自分から猛烈に努力をしたいと答える子を採用した、とあります。 “それなら俺と一緒だ。そんな自分でも今はこうして仕事が出来るんだから、お前もできるよ。” 相手の心に響く言葉で語りかけた大畑社長。 

私も実践していこうという気になりました。ヤル気にさせていただいた大畑社長に感謝します。 

退路を断って経営に打ち込む姿勢を学ぶ  京セラ() 伊藤謙介社長 

  1. 京セラフィロソフィの原点 

伊藤社長の京セラ(株)の経験は、説得のあるものです。実践して来られた人のお話しには、人を説得する力がある、“言霊” があると思います。 

人生の話や働くことの意味を2時間3時間と解かるまで熱心に話す塾長。“私の言うことをまだ分かっていない。” “分かったような顔をしていない。” と引き続き話したとあります。 “思いというのはエネルギーだ。” “言葉には魂がある。” “自分は君たちに話すのは魂を伝えるんだ。” とずっと塾長は言われていた。 

お客様へ訪問した時の報告をしていますと塾長は “私をお客様と思い、最初から客先へ訪問した時から聞かせてくれ。” と会話の中身を全部おさらいさせられたことが幾度もあった、と伊藤社長は述べています。つまり稲盛自身の判断基準に達するまで高めた上で、仕事をバトンタッチしようとしました。 

お客様への技術レポートを提出するときでも塾長は “自分をお客様だと思って説明してみろ。” とシュミレーションのようなことを通して、お客様への対し方を教育しました。それは人によって説明の内容が違ったらおかしい、会社としてはすべて同じでなかったらいけない、という考えでした。 

  1. 価値観の共有のための教育 

塾長は、これからは強い会社しか生き残れない、と断言しています。強い会社とは全従業員が“価値観” を共有できる会社でしょう、と伊藤社長は述べています。

その為に、塾長は自腹を切って、コンパを開き、コンパを非常に大事にしておられた。落ち込んでいる時には “頑張ろう。” “そんなにしょげていないで、張り切ろう。” と言って、励ましてくれた、とあります。価値観を共有化する努力を図って京セラフィロソフィーの小冊子を作り、朝礼でのフィロソフィー小冊子の輪読をしたり、二泊三日の研修をしたり、勉強会を開いたりしました。 

  1. フィロソフィーの体現化 

価値観の共有はフィロソフィーの実践にまで高めなければならない。無意識の中にフィロソフィーが実践されるレベルまでにならなければならない。昼休み、誰もいないのに電気がついていたとして、もったいないと考えてスイッチを切るというレベルでは低い。無意識のうちにスイッチに手がいくようなレベルまでにならなければならない。 

機械の異常音に直ちに反応して、自分の痛みとして感じ、機械の調整あるいは保守をしなければならない。 

社員の意識を高めるために京セラは繰り返し、繰り返し社員の教育を行っています。強い会社を持続する為にはつねにフィロソフィーの感性を高めておくことが必要です。その為に京セラでは五年毎の社員教育を繰り返す計画をしています。 

社員が絶えず問題意識をもって、絶えず工夫をするという意識がなかったら、これからは生き残れません。 “有意注意” 何事にも自分の意識を向けて、真剣に集中することが大事です。 

パナソニックの創業者、松下幸之助さんは、ペンの置き方にまで注意を払うように指示されました。机の並べ方についても稲盛塾長は、ひもを引っ張ってまっすぐに並んでいるか、自分でチェックしました。整理整頓がものづくりの基本であることを、経営の神様、松下幸之助も塾長も、その態度で示しました。ものづくりや経営には、考え方一つで無限の可能性があると言われています。困難であっても、高い目標に挑戦する気概がなければ、企業としての活力・成長は止まってしまいます。 

少しでも安くという問題意識で見通しますと、次から次へとコスト削減の道が見つかる、又、考え付く、と言われています。このように、各部門、又、その現場が責任をもってものごとの解決に取り組めば、業績は改善されます。 

京セラのお話しで、一番学ぶべきことは、フィロソフィーを学び、心を高め、共有し、同時に具現化することだと思います。