盛和塾 読後感想文 第二十三号

・人生という名のドラマ

塾長は言います。人生とは自分自身が主役を演じるドラマです。ドラマでは結論が出ていますが、我々の人生では始めから結論は決まっていません。結論を出すのは我々自身です。

人生というドラマの脚本は自分で書くわけですから、どういう脚本を書くのか、何をどう書くのか、自分で決めなければなりません。主役である自分にどういう演技をさせるのか、自分の考え方をはっきりさせなけらばならないのです。その為には、自分の心と精神を鍛えてゆくべきです。自分の心と精神を早く磨くことの必要性に気付き実行すれば、素晴らしい人生ドラマが描かれると思います。 

私は人と比べていつも10年以上遅れています。今からでも遅くないと思い、心を高める努力をし、夢とロマンを今でも持っています。人より10年長く生きられるのではないかとひそかに思っています。 

・経営に必要な の二面

西郷南洲の 思想

西郷南洲の思想 “敬天愛人” は、“敬虔な気持ちで畏れを知り、そして人を愛せよ。” という思想です。敬天は天に祈って正しい考えを持ち、道理を慎み守るということ。愛人とは、人は皆自分の同胞であり、仁の心を持って衆を愛するということ。自分の修養には、己に克つという事をいつも心掛けねばならないのです。 

はじめは、己を慎んで大成功を収めた実業家が、次第に自分を愛する、自分の都合の良い様に私欲にはしるようになり、最後には人生に失敗するという例は枚挙にいとまがありません。

西郷南洲は人としての道を説き、人を愛することを唱えた政治家であり、哲学者であります。 

大久保利通の合理性

大久保利通は、はっきりした目的意識をもって日本近代化の為に、人材の登用に際し広く人材を集め、縁故を排したと言われています。大久保利通にとって彼の理想とする近代国家日本を築くためには、妥協をすることが出来なかったのです。従って、“情” に流れることなく、はっきりした合理的、論理的な判断をしたと思われます。

・バランスの良い経営者

塾長は述べています。経営者は、バランスの取れた人間性を持たなければなりません。人間味あふれる情愛深い一面、冷酷非情なまでの論理性を重視することが要求されます。

日常の経営の中では、西郷南洲の素晴らしい哲学で裏打ちされた経営をしなければならないと思いつつも、実務の面では、合理的、論理的で明白な決断をすることが要求されます。 

組織を守る為には、“泣いて馬謖を斬る” ような冷酷で厳しい決断に迫られることがあります。 

株式会社 すわき(代表取締役社長 洲脇誠司) 

洲脇社長は、同族会社経営を排除し、従業員とともに歩む会社に方向を定められました。それと同時に、従業員とのコンパを開催され、経営理念の浸透を図られました。 

そして、三つの重点戦略を作られました。

  • 1. アミーゴ作り(強い連帯感のあるチーム)
  • 2. 考え方の統一(勉強会などでのレベルアップ)
  • 3. 一流の数字の達成(人事生産性や、経営利益) 

事業の拡大と同時に、人づくりに力を入れておられるのが大変参考になりました。 

・株式会社 ホームインプルーブメントひろせ(代表取締役社長 広瀬 舜一)

アメリカのホームセンターを視察して、瀬戸物屋の商売に見切りをつけたとあります。250年も続いた家業をやめたわけですが、すごい決断です。思い切った決断をし、後には引けないようにされたのだと思います。

ホームセンター開始のモットー

ホームセンターの開始には、“お客様を裏切らない”をモットーとされました。  

  1. 品切れは起こさない
  2. どこよりも安く
  3. 無条件返品受け入れ
  4. あいさつ
  5. お客様を喜ばせる丁寧なご案内 

こうした誰でも出来るが、大型量販店ではやっていない最低レベルのお客様サービスに徹したとあります。お客様の為になる良い事は全部やる、“売るものが無い時は親切を売れ”とは驚きです。尋ねられた商品が無い時はライバル店も紹介し、お客様からの人気を呼びました。 

三つの ありがとう 

  1. お客様から “ありがとう” と言われたい。
  2. 広瀬社長は述べています。“私は中小企業に多い兄弟や身内に経営を手伝ってもらうことをしていません。自分ひとりでやってきました。それだけに、従業員や周りの人を大切にしてきました。” これは、従業員を大事にし、従業員から “ありがとう” と言われたいと思ったに違いありません。
  3. お取引先から “ひろせとお付き合いして良かった。” と言われたい。 

一流企業を作ろうと挑戦してきました。どんなに苦しい時も、“中小企業だからそれはできない、無理だ。”と逃げた事はありません。それが私の経営者としての気概です。 

あいさつと快適な店 

従業員同士、お客様へのあいさつと、快適な店にすることが事業の基本だと考えられています。あいさつをして、謙虚な気持ちを表すと同時に、自分のファン作りをするのです。お客様がお尋ね時には、丁寧な対応をし、探されている商品の説明、商品棚までの御案内等、お客様がファンになってくれるほどのサービスを提供するのです。従業員同士のあいさつも大切だと言われています。 

店を快適にするというのは、掃除をしっかりする、お客様が買い物をしやすくすることです。商品棚を綺麗に保つ、目線を統一する等、お客様の立場に立って管理ができていなければなりません。 

こうしたことは、従業員一人ひとりの心構えが出来ていない限り、達成できません。毎日の朝礼で唱和して、心構えを確認しています。 

お客様を豊かにする為に頑張る 

  • 1. 仕事とは、先手先手と働きかけ、受け身でやるべきではない。
  • 2. 実施に当たっては徹底して実行せよ。中途半端な仕事はしないに等しい。
  • 3. 常に問題意識を持って、頭もお金も商品も早く回せ。
  • 4. 出来ないと言うな。出来るにはどうすべきかのみを考えよ。
  • 5. 執念をもって事に当たれ。すぐに出来ることには値打ちのあるものは少ない。 

この五訓は明らかに挑戦する姿勢です。こうでなければ、現在ある事業はなくなり、企業は死にます。 

OJTの重要性 

広瀬社長は事業の基本的な考え方・方法を述べています。“一人ひとりのお客様を、一つひとつの商品を、一つひとつの店を大切にする。また、お客様の欲しい商品が欲しい時に売り場にそろっている為には、社内のあらゆる作業や仕事が的確に行われる必要があります。その強化にはOJTの徹底しかないと同時に、従業員がお客様のニーズに早く気付くようにしなければなりません。” 

私共の会計事務所や関係会社でも文書や口頭でのトレーニングでは仕事の徹底が達成されていません。従業員と一緒に仕事をしながら、OJTをすることの大切さを痛感しています。