盛和塾 読後感想文 第十九号

人生と会社経営

  1. ひたむきな努力と善なる動機

内村鑑三の書いた、 “代表的な日本人” の中で江戸時代の哲学者、二宮尊徳について書かれている章があるそうです。

二宮尊徳は何としても立派な人物になりたいと思い、“陽明学” を勉強しました。夜、油を付けて小さな灯で本を読んでいると、おじさんに “油がもったいない” と叱られました。そこで、仕事の合間に本を読んで勉強したそうです。陽明学(中学の哲学者、王陽明)を学ぶと同時に孔子(中国の哲学者)が説いた  “天道至誠の感ずるところ、天地もこれが為に動く。” ということを学んだ。一生懸命なひたむきさがあれば天地も助けてくれるだろうし、神様も助けてくれるだろうという信念を持った。 “物事を行うには動機が善なること” を二宮尊徳は大事にしました。 “ひたむきな努力” と “善なる動機” の二つが人生には大切、と塾長は延べています。 

  1. 事業の発展と人生

京都の優良企業として京セラ、村田製作所、ロームの名が新聞に出たそうです。いずれもみな素人が事業を始めました。最初から立派な技術やノウハウを持っていたのではなかった。おそらく最初は面白いと思い、又お金も儲かるかもと思い、始めたのではないかと思います。しかし、その経営者も一つの製品を必死に育てあげ、成功しました。

素人だからこそ、古い慣習を知らず、既成概念にとらわれず自由な発想があった。しかし、単品だけでは生き延びることに不安を抱き、危機感と飢餓感が常に付きまとっていた。こうした危機感や飢餓感があったからこそ、生きのびたい一心で、新市場、新製品を開発し続けたと塾長は述べています。こうして中堅企業となっていった。この時期では会社の目標を達成すると危機感と飢餓感がなくなり、経営者は満足してしまう。自分の欲望を会社の事業目的に入れたい。金額的な数字が目標になっている場合、その目標に達した時点で成長発展が止まってしまう。 

大企業になるにつれて社会との結びつきが多様化して、会社は従業員、仕入れ先、お客様、社会、国、自然環境なども考慮し、共生することが必要となってきます。長期にわたり、会社が成功発展していく為には、世のため、人のためを考えて、ともに生きながらえることが必要をなってきます。

経営者は一生懸命に生きて、立派な会社を経営し、発展させることに楽しみを見出す、生き甲斐を見出すようになります。周囲の人々が喜んでくれることが楽しくなり、生き甲斐を感ずるようになります。 

人生は魂の浄化のため

“人生とは世のため、人のために尽くすためにあり、人は生を受けた。” と塾長は言っています。

こうした人生哲学を手に入れるのは、並大抵の事では出来ないと思います。何故かと言いますと、人間も動物も何も持たずに生まれてきます。最初は本能の向くまま、生きようとします。その時は自分自身の生存に全力を尽くします。大きくなるにつれ、家族を知り、社会を知り、人間は社会人になっていきます。社会とのつながりがどんどん広まっていく中で一人では生きられない、共生することが大事だと学んでいくように思います。社会との結びつきが強くなればなるほど、共生の大切さを学び、利他の心が芽生えると思います。

企業が設立されて、小企業、中堅企業、大企業と発展していく過程は、経営者の成長に相対すると思います。塾長も苦労して苦労して、この過程を通られたに違いありません。だからこそ、塾長の講話は経営者のみならず、一般の人々をも引き付けるのだと思います。 

“この苦しい過程を立派に通り抜ける、悟りを開く為には塾長の教え、“六つの精進” を実行することしか道はないのです。 

  1. 誰にも負けない努力をする
  2. 謙虚にしておごらず

事業目標の達成のために燃えるような闘争心、闘魂を秘めながらも控えめな人が、最終的に成功します。人を押しのけてもという人は大成はしません。

  1. 毎日の反省

利己的な言動がなかったか毎日反省する。

  1. 生きていることに感謝する

自分が幸せであることを忘れてはいけない。足るを知る。

  1. 善行、利他業を積む

世のため、人のために尽くす。

  1. 感性的な悩みをしない

過去の失敗をしたことをすぐ忘れて、心配しない。新しい目標に向かって進む。