盛和塾 読後感想文 第二十七号

決して希望を失わない 

心で思った通りに現象は起こる。塾長は最初に就職した会社で、待遇や人間関係において苦労したそうですが、いつも“ふるさと”を歌って自分を元気づけたと語っています。 

“私たちの人生は苦痛や悩みから解き放たれることはないのですが、明るさを失わず、将来に希望を持つように努力することは出来ます” と塾長は言っています。 

落ち込んだ時には、考え悩むのではなく、逆に行動を起こすことにより、苦痛や悩みを忘れてしまうよう努力するようにしようと私は思っています。そうしますと、悩みを解決する方法が見つかる、あるいは自分の考え方を前向きに変えることが出来ると思っています。 

松下幸之助さんに学んだ経営と経営者としてのあり方 

塾長の最初のお客様は、松下電子工業(株)でした。ただ一つのお客様から、京セラという会社は始まった。

  1. 判断の基準

経営だけではなく人生もしかり、なぜ成功する人があったり、失敗する人があったりするのか、塾長は考えたとあります。人生の成功も事業の成功も、その節々で物事を決断し、判断していく。その結果、正しい決断、判断をしたかどうかという事が、事の成否を分けるのではないか? 

どういう判断基準を持つべきかを塾長は考えられた。経営に経験のない塾長は、両親や先生に教わったこと--人としてやって良い事悪い事を考え、人間として何がして良い事なのか。何がしたら悪い事なのか。という事を基準とすることに決めました。 

松下幸之助さんの著書を読み、幸之助さんが持っておられる考え方、経営の場における判断基準を勉強した、と塾長は語っています。 

それから、“PHP” という雑誌に触れ、“PHP” という雑誌を全従業員で購読したとあります。それを20年ほど続けたとあります。 

  1. 京セラフィロソフィーの誕生

松下幸之助さんの書物や “PHP” 雑誌から多くのことを学びました。

・“素直な心”-人間というのは、素直な心でなければならない

・“熱意”-チャレンジ精神

・“一生懸命な努力”-全身全霊で仕事に打ち込む

・“仕事を好きになる”-努力の積み重ねの結果、自分の仕事を愛する

・“小さな仕事の積み重ね”-積み重ねが偉大なことをなす

・“反省のある毎日”-毎日、その日の自分の言動を反省する

・“謙虚”-人の意見に耳を傾け、いつも学ぼうとする態度

・“自由な発想”-“何でや”と疑問に思うことが大事

・“智恵”-知識ではなく、人間が持って生まれた智恵を大切に自分自身で考える

・“公明正大”

・“感謝の心”

・“世のため人のため” 

塾長は松下幸之助さんの言われた事と自分の経験を加えて、“京セラフィロソフィー” をまとめたと語っています。 

どんなに偉い人でも、この例のように、先人から学び、これに改良を加え、時代の変化に応じて、先人の考え方を発展させてきたのだと思います。塾長は、偉ぶることなく、松下幸之助さんのから学んだのだと言っています。この姿勢は大事です。 

“松下の七精神”を松下の全従業員が唱和していたそうです。全社員がベクトルを合わせる為に、一日でも忘れないように、“松下の七精神”を唱和していたとあります。 

松下幸之助さんは語っています。

自然の理法は、生成発展の性質を持っているのだから、物事はこの自然の理法に則(のっと)っているのならば必ず成功するようになっている。成功しないのは、この自然の理法に則っていないからで、それは自分にとらわれたり、何かにこだわったりして素直に自然の理法に従うようなことをせんからや” 

成長発展する、生成発展こそが自然の理法、自然の理法を具体的に述べたものが、“松下の七精神” であると、塾長は思った。最も原始的、初歩的な事-人間としてやって良い事、悪い事-そういう事が “自然の理法” そのものであると後日、分かったそうです。 

  1. 考え方の大切さを従業員に説く

塾長が考え出した人生の結果・仕事の結果の公式- “能力×熱意×考え方” の中でも、考え方次第では、人生の結果、仕事の結果がマイナスにもプラスにもなる。従って “考え方”  が重要である。 

“人生の結果、仕事の結果も実は考え方が非常に大事なんだ。先人が苦労して作り出してくれた立派な考え方を学び、それを実行していくこと。これがたいへん大事なのだ”  “こういう考え方をすれば、たとえうちの会社を辞めてよその会社に行こうとも、あなたの人生にもプラスなんだ” と塾長は従業員に説いた。 

松下幸之助さんが言われた言葉、“素直な心”  “熱意”  “一生懸命な努力”  “仕事が好きになる”、そういったことはみんな知りすぎて、当たり前の事のように感じ、誰も気に留めようとはしません。実はそういう単純なこと、単純な原理が人生や仕事を決めていく非常に大きなポイントだということをみんな気が付いていないのです。それを大事なものと思い、自分の行動規範として考えていくことが、大事なのです。 

  1. 自然の理法

松下幸之助さんの自然の理法というものは、まじめで、公正で、誠実で、謙虚で、ひたむきな努力を続けていく中で、万物は成長、発展するのだ、という考え方です。これは仏教でいう “利他の心”、キリスト教の “愛の力” と同じものではないか。森羅万象(しんらばんしょう)のあらゆるものを “すべてよかれかし。” と成長、進化させているかどうかが、松下幸之助さんが述べられた自然の理法の意味であろう、と塾長は語っています。 

宇宙というのは、始まったその瞬間から今日まで一瞬たりとも留まることなく、生成発展する方向に動いてきました。宇宙というものは、あらゆるものをすべてのものが生成発展する方向へ流れているわけですから、宇宙の意志と同じような  “利他の心”、“愛の心”、そういう心で仕事をしている時、そういう心で人生を生きている時、宇宙はその人の味方をして、成功させてくれます。 

  1. 幸之助さんや天風先生-思念は必ず実現する

幸之助さんが言われた “ダム式経営”、“景気が良い時に景気が良いままに経営するのではなく、景気が悪くなる時のことを考えて、余裕のある時に蓄えをする。つまり、水を貯めておくダムのように、景気が悪い時に備えていくような経営をすべきだ”   講演会に来られた方の質問、“どうしたら余裕ができるのか。出来る方法を具体的に教えてもらわなきゃ困ります”これに対して幸之助さんは、しばらく間をおいて、“いや、それは思わんとあきまへんなあ” と答えられました。 

これは仏教の教え“思念は業を作る”ということです。すなわち、思いは業(原因)を作り、因ができると、因果応報で、業は必ず実現する。“一度植えた種は必ず発芽してくる”  という因果応報の因果だそうです。 

中村天風さん-ヨガの達人と言われた人-は、語っています。

“潜在意識にまで到達するほどの持続した願望、熱意によって自分の立てた目標を達成しよう。”  “強い願望というのは必ず成就するのだ” 

強い願望を持ち続け、その願望に向けて努力をすれば、必ず達成することができるのだ、と松下幸之助さんは私たちに教えていると思います。 

  1. 企業の使命

稲盛塾長は、創業時に若い従業員に要求を突き付けられて企業の使命に目覚められました。“全従業員の物心両面の幸せを追求すると同時に、人類社会の進歩発展に貢献すること” と考えられました。 

松下幸之助さんは “水道哲学” を考え出しました。“良い商品を安く供給して、社会を豊かにするんだ” と皆さんに訴えていました。 

企業は利益を追求します。しかし、それは “自然の理法、天の道に則って利を求める。利を求むるに道あり” 

塾長は稲盛財団を作り、受け取った利益から社会に還元しています。松下幸之助さんも社会的事業に寄付等して来られました。